データサイエンスの分野に興味があり、統計学を独学またはオンライン講座で学習をはじめた人の中には、
- 自学習のモチベーション維持したい
- 理解度を定量的に確かめたい
- 学習の成果を残したい、履歴書に書きたい
などの理由より、資格取得を考えている方もいるかと思います。
一方で、統計学に関する資格は数多くあります。
そこで、今回の記事では、
- 統計学に関する資格試験に興味がある
- どの資格試験に挑戦すればいいのかが分からない
- 統計検定は知っているけど、他にどんな資格があるのかも抑えておきたい
という人に、向けて統計学の関連資格13種を紹介していきます。
(※ 本記事は2021年7月11日時点の情報をもとに作成されたものです)
統計学の関連資格13種
- 統計検定4級(CBT)
- 統計検定3級(CBT)
- 統計検定2級(CBT)
- 統計検定準1級(CBT)
- 統計検定1級
- 統計調査士
- 専門統計調査士
- 統計士
- データ解析士
- 統計士
- 統計データ分析士3級
- ビジネス統計スペシャリスト
- 社会調査士
統計検定
はじめに紹介する統計検定は、一般社団法人「日本統計学会」が認定し、一般財団法人「統計質保証推進協会」が実施する、統計学に関する知識や活用力を評価する検定試験です。
統計検定は、その出題範囲と難易度に応じて、4級から始まり、3級、2級、準1級、1級までの5つの級が用意されております。
統計検定4級(CBT)
- 試験内容:データや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での活用力
- 出題形式:4~5肢選択問題
- 試験方式:CBT方式
- 試験時間:60分
- 合格水準:100点満点で60点以上
- 受験料:5,000円(税込み)
- 開始時期:2020年6月から(PBT方式は2011年11月から)
- 外部リンク:「統計検定4級(CBT)」
統計検定3級(CBT)
- 試験内容:データの分析において重要な概念を身に付け、身近な問題に活かす力
- 出題形式:4~5肢選択問題
- 試験方式:CBT方式
- 試験時間:60分
- 合格水準:100点満点で65点以上
- 受験料:6,000円(税込み)
- 開始時期:2016年8月から(PBT方式は2011年11月から)
- 外部リンク:「統計検定3級(CBT)」
統計検定3級の主な受験者層は大学生となっておりますが、出題範囲は、基本的な用語などの理解やグラフの読み方が中心となり、数学的な範囲は多くはない内容となっております。
数学に不安がある、あるいは統計学をまったく学んだことがないという人であれば、3級から勉強してみるのがいいのかもしれません。
統計検定2級(CBT)
- 試験内容:大学基礎統計学の知識と問題解決力
- 出題形式:4~5肢選択問題
- 試験方式:CBT方式
- 試験時間:90分
- 合格水準:100点満点で60点以上
- 受験料:7,000円(税込み)
- 開始時期:2016年8月から(PBT方式は2011年11月から)
- 外部リンク:「統計検定2級(CBT)」
統計検定2級は、統計検定の中で最も受験者数が多く、受験者層も学生だけでなく20代ビジネスパーソン中心に、幅広い年代の方が受験している試験となります。
未経験でデータサイエンティストを目指すのであれば、統計検定2級はとっておきたい資格となります。
そんな統計検定2級は、先日2021年6月の試験が、最後のペーパー式(PBT方式)での試験となり、今後の試験はすべてCBT方式での試験となります。
統計検定準1級(CBT)
- 試験内容:実社会の様々な問題に対し適切な統計学の諸手法を応用する能力
- 出題形式:5肢選択問題、数値記入問題
- 試験方式:CBT方式(2021年7月中旬から開始予定)
- 試験時間:90分
- 合格水準:非公表
- 受験料:未定(※2021年7月11日時点)
- 開始時期:2021年7月予定 (PBT式は2015年6月から)
- 外部リンク:「統計検定準1級(CBT)」
統計検定準1級は、記述式の統計検定1級と選択式(マークシート式)の2級の間を埋める試験として、選択式と記述式・論述式で構成される試験として、2015年よりスタートした試験となります。
準1級も、2021年6月の試験を最後にペーパー式の試験が終了となり、今後の試験はすべてCBT方式での試験となります。
準1級のペーパー式(PBT方式)の例年の合格率は20%強であり、比較的難しい試験であると言えます。しかし、試験の方式がPBT方式からCBT方式へ変更することに伴い、ペーパー式ではあった記述式問題と論述式問題がなくなり、数値記入問題に問題形式が変わります。また、試験時間も120分から90分と短くなることから、問題の傾向・難易度にも調整が入ることが予想されます。
統計検定1級
- 試験内容:実社会の様々な問題に対し適切な統計学の諸手法を応用する能力
- 試験形式:統計数理と統計応用の2つの試験で構成
- 出題形式:問題選択および記述式
- 試験方式:PBT方式(ペーパー試験)
- 試験時間:各90分
- 合格水準:統計数理と統計応用の2つの試験の合格が必要
- 受験料:10,000円(税込み)
- 開始時期:2012年11月
- 外部リンク:「統計検定1級」
統計検定の最難関試験であり、「統計数理」と「統計応用」の2つの試験で構成される試験となります。「統計応用」では、人文科学、社会科学、理工学、医薬生物学の4つの分野の中から、試験申し込み時に、ひとつの分野を選択し受験する形の試験となっております。
合格者数も例年20%前後と、難しい試験であると言えます。
統計検定以外の関連資格
ここまでは統計検定を紹介してきましたが、統計学に関する民間資格は統計検定以外にも存在します。ここからは、統計検定以外の民間資格を紹介していきます。
統計調査士
- 資格認定者:一般社団法人 日本統計学協会
- 試験内容:統計に関する基本的知識と利活用
- 出題形式:4~5肢選択問題
- 試験方式:PBT方式(ペーパー試験)
- 試験時間:60分
- 合格水準:100点満点に対して70点以上程度を合格
- 受験料:5,000円(税込み)
- 開始時期:2012年11月
- 外部リンク:「統計調査士」
(※統計調査士は2021年をもって終了し、以降はCBT方式試験に移行しております。)
専門統計調査士
- 資格認定者:一般社団法人 日本統計学協会
- 試験内容:調査全般に関わる高度な専門的知識と利活用手法
- 出題形式:4~5肢選択問題
- 試験方式:PBT方式(ペーパー試験)
- 試験時間:90分
- 合格水準:正答率7割程度以上
- 受験料:10,000円(税込み)
- 開始時期:2012年11月
- 外部リンク:「専門統計調査士」
統計調査士と専門統計調査士の両方の試験に合格した場合、日本統計学会が認定する「専門統計調査士」の認定証が送付されます。
(※専門統計調査士は2021年をもって終了し、以降はCBT方式試験に移行しております。)
統計士
- 資格認定者:一般社団法人 実務教育研究所
- 講座概要:統計のリテラシーおよび実務統計の習得
- 認定条件:講座「現代統計実務講座」を受講のうえ、報告課題と終末試験の成績
- 受験料:54,800円(税込み)+ 入学金5,000円(税込み)
- 外部リンク:「統計士」
データ解析士
- 資格認定者:一般社団法人 実務教育研究所
- 講座概要:多変量解析の基礎および重回帰分析・主成分分析などの解析手法の習得
- 認定条件:講座「多変量解析実務講座」を受講のうえ、報告課題と終末試験の成績
- 受験料:49,500円(税込み)+ 入学金5,000円(税込み)
- 外部リンク:「データ解析士」
本資格について驚いた点があったので、その点もご紹介しておきます。
本資格の取得のため必要となる講座の受講は、通信教育の形で行われます。その講座で発生した質疑や課題提出は、電子メールではなく、すべて郵送で行われるというのです。
本講座ではエクセルを用いた回帰分析などのテーマがあります。そのため、回帰分析で得られた結果(グラフ)に対して、質問したい画面があったとしても、専用の質問用紙に質問を手書きする必要があり、さらに郵送で質疑を行うため、答えをもらえるまで時間がかかることが予想されます。
受講者からの質問数を抑えたい狙いがあるのかもしれませんが、赤ペン先生でも電子データで添削を行う現代において、郵送で質疑応答や課題提出を行う講座があったことに驚きです。
統計データ分析士3級
- 資格認定者:統計学科研究所
- 試験内容:記述統計学
- 認定条件:講座「やさしい統計データ分析入門」受講後、試験提出
- 試験方式:自宅で受験(答案はE-mailで送付)
- 試験時間:-
- 合格水準:正答率80%以上
- 受験料:12,000円(税込み)
- 外部リンク:「統計科学研究所」
講座は10時から17時までの1日がかりでの受講が必要となりますが、試験自体は、講座受講後より2週間の間に、自宅で実施のうえ提出する形式となるため、しっかり取り組めば、資格取得が可能と考えられる資格となります。
なお、本資格には、より上位の認定資格のデータ解析士2級と1級が存在します。
ビジネス統計スペシャリスト
- 資格認定者:株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ
- 試験内容:エクセルを使用したデータ分析技能と分析結果を正確に理解し応用する能力
- 試験科目:エクセル分析ベーシック/エクセル分析スペシャリストの2種
- 出題形式:択一問題、穴埋め問題
- 試験方式:CBT方式
- 試験時間:各60分 / 60分
- 合格水準:各1000点満点に対して700点以上を合格
- 受験料:6,600円(税込み)/ 10,780円(税込み)
- 開始時期:2015年
- 外部リンク:「ビジネス統計スペシャリスト」
本ビジネス統計スペシャリストは、統計検定の公式サイトの中で、統計検定と補完関係にある関連試験として紹介されています。
社会調査士
- 資格認定者:一般社団法人 社会調査協会
- 試験内容:調査全般に関わる高度な専門的知識と利活用手法
- 認定条件:大学の学部卒業、関連単位の習得
- 受験料:16,500円(税込み)、ほか
- 資格開始:2004年
- 外部リンク:「社会調査士」
社会調査士は、試験や所定の講座を受講する必要がなく、プログラム参加大学で認定科目を取得したことを証明する書類を提出・申請することで取得できる資格です。
同協会の発表によると、2018年時点で同資格の累計認定者数は3万人を超えているようです。
まとめ
今回の記事では、統計学に関する13もの資格を紹介しました。
統計学は昔からある学問ですが、近年のデータサイエンスやAIの注目度の高まりに伴い、統計学に関する資格は増えてきております。
今回紹介した資格は、試験の合否で資格を付与するもの、講座の受講がセットとなっているもの、大学の単位取得だけで認定されるものと、資格取得の道のりも色々なものがあることが分かりました。
今回紹介した資格は、すべて民間資格となるため、いずれの資格も法的な効力はありません。
しかし、学習のモチベーションを維持する目的や、学習した内容を定量的に計る手段として、資格試験は有効な手段と言えます。
そのため、これから統計学の勉強を始めようと考えている人は、今回紹介した資格試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。
じゃあ