統計検定2級に合格したら次に何を学習する?

統計検定2級取得後に何をする?

統計検定2級は、データサイエンスに興味がある学生や社会人が統計学の基本知識を学ぶのに最適な試験です。データサイエンスを学ぶ人にとって、登竜門的な知識科目が統計検定2級(私立文系の人は場合によって統計検定3級)です。このような背景から、近年統計検定2級の受験者数は、大学生を中心にデータサイエンスを新たに学ぶ社会人にとっても人気の資格試験になっています。

私も、2019年に統計検定2級のPBT(会場試験)とCBT(コンピュータ試験)の両方に合格し、現在はデータサイエンスの自学自習の勉強会であるパラレルキャリア研究会を主宰しています。このような経験と立場から、統計検定2級を取得後にどのような学習ルートがあるかまとめてみたいと思います。

統計検定2級を受験する人の主な動機

統計検定2級受験者の過半数を占める20代は、大学生や専門学校生、新社会人がデータサイエンスを学ぶための初期段階として、勉強することが多いことが、受験者の年齢分布(主催者:一般財団法人 統計質保証推進協会)からわかります。彼らの多くは、表計算ソフトExcel、Pythonのデータ分析環境であるJupyter Notebook、R言語のデータ分析環境であるRstudioなど多少使っていると推測します。これらの分析ツールは、大学や専門学校の課題、または会社の所属部署で使っていることが想定されます。これらの分析ツールのアウトプットをより正しく理解するための手段として統計検定2級を受験しているといえます。

次に、30代から50代ぐらいまでの統計検定2級受験者の学習動機は、リスキング、部署異動や転職先の職場でデータ分析のスキルが求められる、または将来必要となることに備えて自己啓発的に受験している層だと思います。この層の受験者は、元々データ分析は専門ではないが必要に迫れている、または将来必要となるという備えからもたらされたやや受動的な動機付けであり、統計検定2級を取得した後に、データサイエンスを学ぶためにどのような学習を継続するか迷いやすい層であると考えています。先日、私が主宰するパラレルキャリア研究会で個別カウンセリングを申し込まれた50代前半の方からも統計検定2級取得後の学習について相談を受けました。このようなカウンセリングでは、最初にデータサイエンスを学ぶ意味について明確にすることが大切です。

統計学やデータサイエンスを学ぶ意味

OpenAIがリリースした「ChatGPT」は、我々の生活にWindows95やiPhoneの登場と同等、それ以上の革新的な技術です。ChatGPTに代表されるディープラーニングはインプットとアウトプットの間がブラックボックス化され、どのようなアルゴリズムが組み込まれ処理された結果がアウトプットされているのか詳細を知ることができません。このような、ブラックボックス化されたアウトプットについて、人は採択するか否か意思決定する必要があります。意思決定まで全てAI技術に任せることも考えられますが、その場合でも人が意思決定に対して責任を取ることに変わりはありません。

また、マーケティングやブランディングなど人の心に訴求する分野では、ChatGPTなどのAI技術から出力されるアウトプットと差別化することが逆に人にとっては魅力になることが考えられます。いずれにせよ、AI技術に意思決定を任せることや人の感性に刺さる訴求をするにはパートナーでもあり競争相手でもあるAI技術の仕組み(得意なこと不得意なこと)を知る必要があります。

やや話がそれましたが、責任だけ人間が取り、意思決定まで全てAIに任せるという人以外は、「統計学や機械学習の知識」と「パソコンなどで実際に自分でデータ分析をするスキル」が重要になります。前者の知識は意思決定に役立ちますし、後者のスキルは自分の意思決定の正当性を相手に伝えるための手段になるからです。

統計検定2級取得後におすすめ学習ルート

統計検定2級を取得した20代の若年層は、データサイエンティストとして企業に就職や転職を目指す人が多いと思います。このような人は、仕事でデータ分析を行う機会はまだない(または少ない)と考えますので、PythonやR言語を使って統計検定2級レベルのデータ分析を行うエンジニアスキルを習得することをお勧めします。

データ分析を表計算ソフトExcelで行うか、PythonやR言語などのオープンソースソフトウェアを用いるかは考え方が分かれますが、データサイエンティストとして活躍を目指すのであれば、最終的にPythonやR言語でライブラリーを用いて自分でアルゴリズムが組めることが望ましいと考えます。

具体的には下の学習教材がおすすめです。書店などで手に取って、自分のレベルに最も近い教材から始めるのがよいと思います。さらに、学習のマイルストーンとして資格試験を利用したい方は、下におすすめのデータ分析系の資格試験を記します。

データ分析のエンジニアスキルを高めたい人におすすめの学習教材

【PythonとR言語によるデータ分析】

 

【表計算ソフトExcelによるデータ分析】

 

データ分析系のおすすめの資格試験

 

すでに、統計検定2級レベルのデータ分析をExcelやPythonまたはR言語を使ってパソコンで分析できる方は、データサイエンスの全体像を理解するために「データサイエンティスト検定リテラシーレベル」または「統計検定データサイエンス発展(DS発展)」を学習する。加えて、ディープラーニングの概要を理解するための「ディープラーニングG検定」を学習することをおすすめします。

データサイエンスの全体像を理解するためのおすすめ資格試験

30代から50代の方におすすめの実践的学習

30代から50代ぐらいまでのビジネスパーソンで統計検定2級を取得された方は、日常業務でデータ分析の質を高めたい人や、自社に新設されたDX部門やデータサイエンス部門に異動したい人などが想定されます。このような方は、自社にデータ分析が行える社内データがあることが考えられます。上で示した学習教材や資格試験を中心にするのではなく、実際に社内にあるデータを表計算ソフトExcelやPython(またはR言語)を用いて分析をしてみてください。その際、職場のデータリテラシーに照らし合わせて、エクセルの方が理解されやすいのであれば、Excelを選択してもよいでしょう。その際、わからないデータ分析の前処理や分析手法を上の書籍で参照すると学習効率が高いと思います。

まとめ

今回は、統計検定2級を取得した後、どのような学習をすればよいのかわからない方向けて、私の経験とこれまでのカウンセリングを踏まえて、いくつかのルートをお伝えしました。統計検定準1級を目指すというルートもなくはないのですが、2級と比べると圧倒的に難易度が高く、特に文系の学生や社会人にとってはかなりハードルが高いといえます。また、私自身の体験からも統計検定準1級を学ぶより前にデータサイエンス全体にもう少し知見を広げた方が実務に役立つと思います。統計検定2級取得後に新たな学習をしようと考えている人の後押しになれば嬉しいです。

私たちは20代から50代のビジネスパーソンに向けて、パラレルキャリア研究会というコミュニティーを運営しています。当研究会はデータサイエンスについても互いに学び合う場を提供しています。

私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、データサイエンスの自学自習に少しでも興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。

関連記事

統計検定2級では登場しないDS検定の知識159選

統計検定2級の知識でDS協会スキルチェックリストをどの程度カバーできるのか調べてみた

ディープラーニングG検定に合格した学習方法と受験体験

データサイエンティスト検定リテラシーレベルに合格するための学習方法

 

[article-banner-2]

ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。