データサイエンティストを目指すための学習ルート「ビジネス力」

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これまで別記事文系ビジネスパーソンこそ統計学を学ぶべき理由において、経営や事業について知見のある文系ビジネスパーソンが「統計学」や「プログラミング」を学ぶことで、データサイエンティストとして即戦力になることをお話しました。

データサイエンティストに求められる3つの力「ビジネス力(BUSINESS PROBLEM SOLVING)」「データサイエンス力(DATA SCIENCE)」「データエンジニアリング力(DATA ENGINEERING)」については、別記事データサイエンティストに必要な3つの能力とはの中で詳しくお話ししています。

それでは、私のような文系のビジネスパーソンがそれぞれの能力を身につけたい場合に、どのような学習ルートを辿ればいいのか、今回は「ビジネス力」の学習ルートについてお話します。

ビジネス力とはコンサルティング力のこと

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別記事データサイエンティストに必要な3つの能力とはの中でもお話ししていますが、ビジネス力とは分かりやすく言えばコンサルタントが持っているような、会社の業績や売上、顧客獲得など、会社の経営に影響を与えうる課題を俯瞰して最重要課題を定義し、キーパーソンへのレポーティングなど通じ、それを解決できる力のことです。それゆえ、ビジネス力は「課題解決力」とも言われます。

Webデザイナーの能力に置き換えてみると、どんなデザインにニーズがあるのか、どのようなデザインが人に喜ばれるのかという視点で物事を考え、自分のデザインの意図を言葉で第三者に伝える能力です。私はこの能力はコンサルタントが身につけている能力に近いという意味で、「コンサルティング力」と定義づけており、本稿内では「コンサルティング力」と表記します。

コンサルティング力にはソフトスキルとハードスキルがある

データサイエンティストを目指すための学習ルート「ビジネス力」の写真です私はコンサルティング力はソフトスキルとハードスキルから構成されていると考えています。それぞれのスキルは具体的に下記のとおりです。

・ソフトスキル(インタビュー、レポーティング、プレゼンテーション、英語力、仮説・論点思考)
・ハードスキル(戦略・マーケティング、財務会計、HRM、生産、デジタル)

ソフトスキルは技能、ハードスキルは知識であり、コンサルティング力を高めるためにはこれら2つのスキルをバランスよく身につける必要があります。それぞれのスキルについて詳しく見てみましょう。

コンサルティング力の「ソフトスキル」

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このソフトスキルについては「このデータ分析ができればこの課題が解決できるのではないか」といった、仮説を作る力と着眼点、仮説思考が必要になります。仮説を作るにしても、どのような部分に着目するのかという思考力(論点思考)が大切です。

課題解決にあたり、まずはどのような課題があるのか、データを使ってどのようなことが解決できるのかを考えるために、相手からヒアリングやインタビューを行う必要があります。自分が当事者であればこのプロセスは不要ですが、そういう場合ばかりとは限らないので発見力や着眼点を得るための情報収集の段階でインタビューのスキルなどは必要になります。

さらに、データの分析結果を統計が分からない人にレポーティングやプレゼンテーションを行って内容を理解してもらう必要もあります。今後、経営陣がデータ分析を分かるようになってくればこの負担は減ると思いますが、当面はこのスキルが求められるでしょう。

語学力については他のソフトスキルとやや意味合いが異なりますが、データエンジニアリングにおいてもマニュアルが英語で書かれている場合が多いので、習得しておいたほうがいいです。

コンサルティング力の「ハードスキル」

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ソフトスキルでは仮説・論点思考が大切だとお話しましたが、仮説を立てるには会社全体を俯瞰して考える必要があり、そのためには会社の運営や経営に関係する戦略を広く浅く知っておく必要があります。このベースとなる知識がない状態では、仮説や論点を見い出すことも難しいです。そのような状態でも自分の部署の仕事はできるとは思いますが、データサイエンティストはより上位の視点から全体を俯瞰することが大切になります。

生産に関しては、生産性を高めるための課題を深掘りして、その見つかった最終的な課題を解決するためにデータサイエンスを使います。そのため、生産性を高めるということがどういうことかを知っておかないと、工場などで機械の故障を予知するプロジェクトに参加したとしても、予知をすることによってどれだけ生産性が高まるのかが分かりません。例えば、その機械が故障してしまうと生産がストップするような、ボトルネックになっている重要な工程がある場合に、その機械の故障を予知することに意味があるわけです。そもそも故障してももそこまで生産ラインに影響しない機械の予知をしても仕方がありません。機械が壊れることで部品の取り寄せに非常に時間がかかる、生産ラインの中で重要な役割を果たしている機械であるかなどの点を見ずに、ただ故障予知をしてもしょうがないのです。

また、生産に限らずマーケティングや配送・物流はデータサイエンスと非常に相性がいい分野です。特に在庫をどれ位抱えておけばいいのかという在庫管理は重要です。在庫の量を決めるには売上予測が必須です。売上予測とは集客や顧客寿命、ライフタイムバリューなどをデータを元にシミュレーションすることであり、マーケティングや財務、生産、物流にも影響を与えます。このシュミレーションが新規の顧客獲得数や期間、売上目標の裏付けとなるため非常に重要です。

これらのスキルは基本的にMBAで学ぶ内容に近く、日本ではビジネススクールの「グロービス経営大学院」や国家資格である中小企業診断士資格向けに提供されている講座が、比較的コンサルティング力(ハードスキル)を高めるのに向いていると思います。

まとめ:

別記事データサイエンティストに必要な3つの能力とはでお話したITSS+というガイドラインにおいて、ビジネス力(コンサルティング力)が細かく定義されています。しかし、それら全部をひとつひとつやろうと思ってもなかなか難しいため、体系的な学習をおすすめします。

その体系的な学習はどうすべきか、具体的な学習教材については別記事文系ビジネスパーソンにおすすめの学習教材「ビジネス力」でご紹介します。

私たちは30代から50代のビジネスパーソンに向けて、パラレルキャリア研究会というコミュニティーを運営しています。当研究会は社会人の能力開発をテーマにしており、データサイエンスについても互いに学び合う場を提供しています。

私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、ビジネス英語の向上やパラレルキャリアに少しでも興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。