別記事「機械にWeb予約を任せるため4つのステップ」では、機械にWeb予約を任せるための4つのステップということで、Pythonにブラウザ操作の自動化をさせることについて紹介しました。
そして、同記事に辿り着いた人の中には、ブラウザ操作の自動化を、実際にPythonでやってみたいと考えている方がいることと思います。
ということで、今回の記事では、
- Pythonによるブラウザ操作の自動化に興味がある
- 興味はあるけど何をやったらいいかわからないから最初はコードを写経から始めたい
という人に向けて、「指定した時間にWebページにスクレイピングを行い、その結果をLINEメッセージで送る方法」を、実際のPythonコードとともに紹介していきます。
PythonでWebスクレイピング結果を自動でLINEに送る方法

① LINE Notify トークンの取得
1. LINE Notify トークンの発行
今回は、スクレイピング結果をLINEに送ることから、LINE Notifyと呼ばれるサービスを利用していきます。
そのため、はじめに上記リンク先より、LINE Notifyのサービス利用登録および、アクセストークンの発行を行います。

ここで発行されたトークンは、忘れずにコピーするように注意してください。
2. LINEにメッセージを送付するテスト
トークンが取得できたら、さっそくPythonでLINEにメッセージを送れるかどうかを試します。
次のコードでLINEにメッセージを送ることができます。
なお、コード6行目には、みなさんがそれぞれ発行を受けたアクセストークンを指定する必要があります。
#ライブラリのインポート
import requests
#LINE通知用の関数
def line_notify(message):
line_notify_token = '(発行されたトークンを設定)'
line_notify_api = 'https://notify-api.line.me/api/notify'
payload = {'message': message}
headers = {'Authorization': 'Bearer ' + line_notify_token}
requests.post(line_notify_api, data=payload, headers=headers)
#実行プログラム本体
line_notify("Hello World")
上記プログラムを実行した結果、LINEアプリで、
[(トークン名)] Hello World
というメッセージが表示されたら、テストは成功です。
では次からは、実際に存在するサイトにアクセスした結果をLINEに自動送付させるプログラムについて紹介していきます。
② LINEへのメッセージ送付
今回、例題として、YAHOO! Japanの天気予報のサイトの情報を、LINEにメッセージを送る方法を紹介していきます。
ここでLINEで通知させる情報は、指定エリアの天気予報のキャプチャ画面(次の画像のような)と、都道府県別の「天気予報」と「概況」の2つの情報とします。

プログラムの大まかな流れは次の通りです。
- 指定した時間に自動的にYahooの天気サイトにクローリングを行う
- 神奈川県東部の本日の天気(気温&降水確率)を画面キャプチャを行い、予報概況をスクレイピングする
- 画像ファイルを添付し、LINEメッセージを送る
1. ライブラリのインポート
はじめに、使用するライブラリの設定を行います。
import requests
from bs4 import BeautifulSoup
from selenium import webdriver
import sched, time, datetime
2. 画像データをLINEメッセージで送るための関数
テストで用いたのはメッセージのみ送る関数でしたが、ここでは、画像ファイルをLINEで送るための関数を用意します。
def line_notify_with_image(message,filename):
line_notify_token = '(発行されたトークンを設定)'
line_notify_api = 'https://notify-api.line.me/api/notify'
payload = {'message': message}
headers = {'Authorization': 'Bearer ' + line_notify_token}
files = {'imageFile': open(filename, 'rb')}
requests.post(line_notify_api, data=payload, headers=headers, files=files)
3. クローラを起動させLINEにメッセージを送付させる関数
ブラウザ操作の自動化を行う「Selenium(セレニウム)」を用い、Yahooの天気サイトに入り、画面キャプチャと情報のスクレイピングを行うコードを用意します。
def check_today_weather():
filename = "本日の天気.png"
# クローラーの起動
driver = webdriver.Firefox()
#指定したドライバの要素が見つかるまでの待ち時間を10秒に設定
driver.implicitly_wait(10)
# Yahooの天気サイトにアクセス(かながわ)
driver.get('https://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/14/?day=1')
# ソースコードを取得
html = driver.page_source
driver.get('https://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/14/4610.html')
#申込結果の画面をキャプチャする
driver.save_screenshot(filename)
# ブラウザを終了する
driver.quit()
# HTMLをパースする
soup = BeautifulSoup(html, 'lxml') # または、'html.parser'
# スクレイピングした《今日の日本の天気予報の概況》を変数に格納
message = soup.select_one('#condition > p.text').get_text()
# LINEに通知させる
line_notify_image(message,filename)
これで、スクレイピングの実行に必要な関数の準備ができました。
4. 指定した時間にプログラムを実行させる
最後は、指定した時間にプログラムを実行させるコードを用意します。
ここでは、イベントスケジューラー「sched」を使用し、朝6時にプログラムが自動的に実行されるコードとしました。
#自動実行プログラム本体
s = sched.scheduler(time.time, time.sleep)
et = datetime.datetime(2021, 8, 29, 6, 0)
et = int(time.mktime(et.timetuple()))
s.enterabs(et, 1, check_today_weather_only_text) #新しいイベントをスケジュール
s.run() #全てのスケジュールされたイベントを実行
これで、寝る前にプログラムを実行させておけば、次の日の朝など、指定した日時に、天気予報の情報がLINEで届くようになります。
ということで、コメントアウトを除き、たった28行のコードでプログラムを作ることが来ました。
1つ注意点として、プログラムを実行させた場合でも、深夜の時間帯にWindows Updateやスタンバイモードに入ってしまうと、Pythonの実行タスクが途切れてしまうため、そのようなことにならないように、実行の前にはパソコンの設定を確認するようにしてください。
まとめ
今回の記事では、「指定した時間にWebページにスクレイピングを行い、その結果をLINEメッセージで送る方法」について、実際のPythonのコードとともに紹介していきました。
今回は、天気予報の情報をLINEに送る方法を紹介しましたが、Seleniumの操作を応用させることで、Webサイト上の自動予約なども可能となります。
もし、あなたが定期的に行っているブラウザ操作の処理があるとすれば、それはPythonに任せることができるかもしれません。
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