英語の学び直しをしたい社会人が「発音」に注力すべき理由

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これからの時代、30代から50代のビジネスパーソンにとって英語力は必須です。自分の市場価値を上げられる、生き方の選択肢が広がるなど様々な点でメリットがあります。これについては、30代から50代のビジネスパーソンが英語を学ぶべき理由でお伝えした通りです。

しかし、いざ英語を学び直そうと思っても「何から初めていいのか分からない」という声もよく耳にします。私達日本人はとかく英語の勉強と聞くと「文法」や「単語」の勉強を思い浮かべがちですが、私は英語の学び直しをするならまず「発音」に注力すべきだと考えます。

日本人の発音は中1レベルで止まっている

以前、私は「日本人が英語を話せない2つの要因」の中で、英語力は「語彙力(単語)」と「発音」と「文法」という3つの要素で構成されているとお伝えしました。この3つは相互に連携しており、これらをバランス良く習得してこそ英語力の向上が見込めます。

しかし、多くの日本人はこれまで義務教育や受験勉強を経て「語彙力(単語)」と「文法」の勉強に注力してきました。そのため、多くの日本人の発音は、英語の勉強がスタートした中学校1年生レベルで止まっています。これが総合的な英語力の足を引っ張っている状態なのです。我々は別に語学の専門家になろうとしてるわけではないので、「長所を伸ばす」勉強法が必要ではありません。足を引っ張っている部分のボトムアップが、英語力向上には必要なのです。

「語彙力」「発音」「文法」という3つの柱はそれぞれが分離してるわけではなく、相互に関連し合っています。そのため「発音」でつまづいていると、それが総合的な英語力の足枷になって、全体が中1レベルにまで引っ張られてしまうのです。まずは中1レベルの「発音」を何とかしなければなりません。「発音」をボトムアップして「文法」や「語彙力」のレベルに追いつくようにするというのが、最初の目標だと考えます。

この「発音」を向上させるには、英語の4技能「話す」「聞く」「書く」「読む」のうち、「話す」からスタートすることをおすすめします。

「発音」の勉強と英語の4技能の関係 ー 発音は「話す」からスタートすべき

「発音」の勉強と聞くと、多くの人は「聞く(リスニング)」に着手しがちであり、実際に40代以上の世代は授業などでも「聞く」を重視してきたと思います。しかし、私は「発音」の勉強をする場合には「話す(スピーキング)」からスタートしたほうがいいと考えています。

その理由については、自分で正しく英語を正しく発音できると、聞き取りもおのずとできるようになるからです。もちろん、ネイティブのように話すことはできませんが、英語しか分からないネイティブに伝わる程度の発音レベルで話すことができれば、聞き取る力も確実にアップします。しかし「聞く」練習だけでは「話す」ことはできません。「話す」ことの相乗効果で「聞く」の向上が見込めます。「正しい発音で話せるけれども聞き取れない」という事態はほぼ起こり得ないので、まずは「正しい発音で話す」からスタートするのがいいと思います。

以前は「発音」の練習はなかなかやりにくかったものですが、現在ではYouTubeの発音講座やオンライン英会話、Siriなどツールも色々とあり、自分で充分勉強できる環境になりました。具体的な勉強法については「これをやれば飛躍的に伸びる!ビジネス英語勉強法【発音編】」にて詳しくご説明していますので、そちらをご覧ください。

「話す」の強化は「書く」の強化にもつながる

「話す」からスタートすると「聞く」ことができるようになるというのは前述の通りですが、「話す」ことができるようになれば、メールやチャットなど「書く」の向上も見込めます。

日本語は話し言葉と書き言葉が大きく異なるため、文章を話し言葉で書こうとすると非常に違和感があります。しかし、英語は話し言葉と書き言葉に日本語ほどの差はありません。口語体と文語体の違いはもちろんありますが、話し言葉を使って文章を書いても、実際のところそこまで違和感はないのです。もちろん、ライターなどの文章のプロを目指すのであればきちんとした英語の文章が求められますし、口語体の文章を見た相手から「この人は知的だな」とは思われないかもしれませんが、日常生活や仕事でコミュニケーションをする上では特に問題はありません。

実際のところ、日本人ほど英単語を勉強したことのない帰国子女などでも、英語でスラスラと文章を書けたりします。知っている単語の量は限られているものの、話すように文章を書くからです。英語を話せる人は、英単語をそれほど知らなかったとしてもTOEFLなどのライティングの点数は高い傾向にあります。これらのことから、「話す」練習をすることは「書く」練習にもつながります。

「読む」はちょっと一旦置いておく

英語の4技能のうち、唯一「読む」に関しては発音とは関係しません。「読む」ことをやっても「話す」技術は伸びないので、まずは後回しにしてもいいと思います。そもそも、私達は義務教育の6年間のほとんどを文法問題や読解問題、空欄穴埋め問題などの「読む」勉強に費やしているので、そこまで大きく苦手意識もないはずです。それよりも、まずは中1レベルの発音を底上げしていく方が大事です。

まとめ:

我々日本人の英語の発音は中学校1年生レベルであり、そのボトムアップをしない限り、いつまでもそれに足を引っ張られ続け、全体としてパフォーマンスが発揮できません。発音の練習のためにはまず「話す」練習をすることです。そして、「話す」ことは他の技能である「聞く」「書く」にもポジティブな影響を及ぼします。社会人にとっての発音は「習得」ではなく、もはや「矯正」すべきものですから、腰を据えて取り組んでいきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。