ビジネスの現場におけるデータサイエンスのメリット「 マーケティングサイエンス編」

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文系ビジネスパーソンこそ統計学を学ぶべき理由の中で、ビジネスに精通した文系ビジネスパーソンにとって、統計学こそが相乗効果が高い学問だと述べました。ビジネスの知見と統計学の知識を兼ね備えた文系ビジネスパーソンは即戦力として希少価値が高く、現在ではインターネット企業を中心に需要が高まっています。

この流れを受けて、今後は様々な分野でデータサイエンスが活用されるようになっていくことが予想されます。しかし実際のところ、会社の現場でデータサイエンスがどのように役立つか、いまひとつピンとこないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、複数回に分けてさまざまな分野におけるデータサイエンスのメリットをご紹介します。

今回は「マーケティングサイエンス」という言葉も浸透しつつある、マーケティング分野についてです。

膨大なデータを活かしきれていないマーケティングの現場

現代ではマーケティングを進めていくに当たり、販売データや購入データ、顧客データなどさまざまなデータが蓄積されていきます。このようなデータを効率よく収集する仕組みも数多く提供されており、社内もデータだらけになっている状態でしょう。

一方で、多くの会社はそれらの集めたデータをマス向けのBIツールを使って分析するに留まっています。クラウド型に代表されるこれらのBIツールを使えば、データを元にソーシャルメディアのクチコミ傾向やバズっている情報の特定、どのような投稿が好まれるのかなどを分析できますが、年間で何十万から何百万円もの利用料が必要です。しかもその割には、会社ごとの顧客層や商品・サービス(例:耐久消費財、非耐久消費財、デジタル財)など固有の属性を考慮してはいません。

現実は同分野の商品やサービスでも、買い替えのライフサイクルは異なりますし、値段の高低によっても顧客が感じる価値やブランド力も異なります。また、顧客層も富裕層なのか、一般消費者向けなのか、子ども向けなのかなど個別の事情があるはずです。しかし、大衆向けのサードパーティーツールでは、これらの事情は一切考慮されません。こういったツールでは確かに分析はできますが、他社もお金さえ払えば同じ仕組みを導入できてしまい、差別化はできません。これが大きな問題です。そこで、データサイエンスが必要になってくるのです。

マーケティングの分野で活きるデータサイエンス

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ひと昔前まではAIでデータの分析ができること自体に価値がありましたが、現在ではマス向けのパッケージソフトではできないような、自分達の顧客や商品・サービスを踏まえたデータ分析を自社で行い、その結果から商品開発や商品のリニューアル、価格設定など、マーケティングの4P(Product:製品・商品、Price:価格、Promotion:プロモー ション、Place:流通)にデータを活かしていく動きがマーケティングで求められています。前述のように、現在は多くの会社がデータ分析をマス向けのBIツールに頼っていますが、データサイエンスの知識があれば、アルゴリズムや数式を自社の商品や顧客に合わせてチューニングできるようになります。

さらに、マーケティングに関する統計モデルには、顧客生存予測のモデルである「BTYDモデル」を始めとしたさまざまなモデルがありますが、これに関してもどのモデルを使うべきか、統計モデル同士を比較してどちらのほうがより精度が高いかなどを検討できるようになります。これらは統計学の知識がない人にはできず、単にBTYDモデルが出力した結果を信じるしかなくなってしまうのです。統計学の知識を身につけることで、誰かが作ったモデルを信じるだけではなく、それをさらにブラッシュアップしたり、自社用にカスタマイズすることも可能になります。

今後は、AIがどれだけ顧客のニーズを正しく理解できているかという精度の高さが競争軸になってきます。この精度が低いと、顧客に対するレコメンドも単なるお節介になってしまい、DMなども煙たがられブロックされてしまうこともあり得ます。逆に、顧客の嗜好をピンポイントで突けるようになれば、顧客のロイヤリティが高まりファンになる可能性が高まります。ここが、顧客にAIが受け入れられるかどうかのボーダーラインです。AIの精度を高めることで、顧客の痒い部分にアプローチすることができるようになるのです。

日本はこれ以上の人口増加が見込めないため、マーケティングにおいても顧客全体の満足度を上げるよりも、優良顧客層からいかにより多くの商品を買ってもらうか、いかに長い間ファンになってもらうかという視点が重要になってきます。そのため、自社でマーケティングサイエンスができる人材の価値が上がるのです。単に商品企画ができる、プロモーションができるという人よりも、このような分析モデルが分かった上で商品企画ができる人材を会社は求めるようになります。

データに基づいた施策はPDCAの検証も容易になる

マーケティングの分野にデータサイエンスを取り入れることで、効果検証が容易になりPDCAを効率的に回せるという利点があります。経営者にとっては、施策の効果が芳しくなかった場合に、改善策や対策を打てないという状況は一番困ります。データ化された予測モデルがあれば、予測と実績を客観的に検証でき改善策につなげられます。もちろん、分析の結果に対してどのようなキャンペーンを打つかは分析モデルは教えてはくれないため、変わらず人間が担当する部分ではあります。しかし、統計の知識がない状態で感覚的に打ち出した施策と、データを背景にピンポイントで顧客にアプローチする施策を比べた際に、その精度に差が出ることに疑いの余地はないでしょう。

まとめ:

今後、人口が減少していく日本においては、既存の顧客にどれだけ長く付き合ってもらい、どれだけ多くお金を払ってもらうか、そのためにはどうやってファンになってもらうか、という視点がマーケティングに求められます。そのためには顧客のデータを元に1人1人に最適な4Pを考えることができるデータサイエンスの知識が必要になり、これを備えた人材の価値はますます上昇します。自社に特化したデータ分析が求められるマーケティングの分野で、データサイエンスはますます重要視されることになるでしょう。

その他の分野におけるデータサイエンスのメリットついてはこちら
・経営コンサルタント編
・Web系エンジニア/システムエンジニア(プログラマ)編
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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。