統計検定2級は、2021年6月の試験を最後にPBT方式での受験が終了となり、今後全ての試験はCBT方式でのみ受験が可能となります。
ということで、今回の記事では、
- これから統計検定2級の受験を考えているけど、CBT方式って何?
という人に向けて、統計検定2級のPBT方式試験とCBT方式試験の比較と、CBT方式試験の注意点を紹介していきます。
統計検定2級はCBT方式に統一へ。CBT方式とは?
① CBT方式とは
CBTとは、Computer Based Testingの頭文字をとった略称であり、全国にあるCBT会場で、コンピューターを使って受験するスタイルの受験方式となります。
これまで統計検定2級の試験は、CBT方式(Computer Based Testing)とPBT方式(Paper Based Testing)の2つの方式で受験することが出来ました。
しかし、2021年6月の試験を最後にPBT方式の受験は終了となり、今後統計検定2級の試験はCBT方式での受験のみ可能となります。
なお、受験方法がCBT方式に統一される試験は、統計検定2級だけではなく、次の試験もPBT方式からCBT方式に統一されることが決まっております。
- 統計検定4級
- 統計検定3級
- 統計検定準1級
- 統計調査士(2021年11月が最後のPBT試験)
- 専門統計調査士(2021年11月が最後のPBT試験)
では、このCBT方式とPBT方式の2つの方式の違いにはどういったものがあるのでしょうか?
② 統計検定2級のCBT方式とPBT方式の違い
統計検定2級のCBT方式試験とPBT方式試験の主な違いは次のとおりです。
項目 | CBT方式 | PBT方式 |
---|---|---|
方式 | コンピューター方式 | ペーパ方式 |
出題形式 | 4~5肢選択 | 4~5肢選択 |
問題数 | 35問程度 | 35問程度 |
問題 | 受験者ごとにランダムに異なる | 試験回ごとに全ての受験者で同じ |
試験時間 | 90分 | 90分 |
合格水準 | 100点満点で60点以上 | 100点満点で70点以上 |
受験料 | 7,000円(税込) | 5,000円(税込) |
試験日 | ほぼ毎日(試験会場により異なる) | 年2回(6月・11月) |
試験会場 | 全国のパソコンスクールなど認定会場 (東京都22会場) |
大都市の大学など (開催地域は回毎に異なる) |
合否判定 | 試験後すぐ | 試験後3週間後(HP掲載の場合) |
その他 | 2016年8月より開始 | 2021年6月の試験で終了 |
出題範囲や出題形式、問題数、試験時間などは両試験とも同じになります。
ここから、CBT方式とPBT方式で違いのある項目について見ていきます。
合格水準はCBT方式の方が低い
PBT方式よりCBT方式の方が合格水準が低く設定されています。
その一方で出題される問題の難易度は、CBT方式・PBT方式とも同程度であると言われています。
そのため、CBT方式の方が合格が狙いやすい受験方式と考えることができます。
受験料はCBT方式の方が高い
受験料は、PBT方式の5,000円(税込)に対して、CBT方式は7,000円(税込)となります。
PBT方式で会場となる大学の教室の使用料や試験官などの人件費さらには問題用紙やマークシートなど費用を考えると、リアルでの開催となるPBT方式の方が費用がかかるような気もします。
しかし、CBT方式でつかうパソコン教室の使用料やシステム利用料の方が高いのでしょうか?受験料はCBT方式の方が高く設定されております。
ただし、PBT方式の場合、受験者によっては試験会場が遠いことも考えられるので、交通費や場合によっては宿泊費などが発生することを考えると、全国各地で試験を受けられるCBT方式のほうが、受験費用としては抑えられる人が多いのかもしれません。
いずれにしても、受験費用の違いは大きな違いと考えなくてもよいと言えます。
CBT方式はいつでも受験が可能
PBT方式は、試験が年2回(11月・6月)の開催されていました。
一方でCBT方式は、受験者の都合に合わせて受験日や受験時間を決めたうえで受験することができます。
そのためCBT方式での受験では、「1か月後に統計検定2級をとりたい!」など、自身モチベーションや、「日曜日の午前中に受験したい」などの自身の都合で、受験日を設定することが可能となります。
そのため、学習の中だるみを起こすことなく、試験に向けて追い込むような学習スタイルをとるのに適していると言えます。
CBT方式は合否がすぐに分かる
PBT方式の試験は、受験日より約3週間後にWEB合格発表、約1か月後に合格証が自宅に届きます。
一方、CBT方式の試験は、試験終了後、すぐにその場で合否の結果が分かります。
そのため、仕事のためにすぐ必要、履歴書に書きたい、単位振り替えのためにすぐ取得したいなど、すぐに合否を知りたいような場合は、CBT方式で受験するメリットは大きいです。
著者自身、統計検定2級の受験はPBT方式を選択しました。
ただ、その理由は「せっかく受験するのであれば、最後の機会となるPBT方式で受験しておきたい。」という程度のものであり、特にそれ以外の理由はありませんでした。
ということで、ご紹介した通り、統計検定2級をCBT方式で受験するデメリットはあまりないと言えるので、試験はCBT方式のみとなりますが、特に気にする必要はないと言えます。
③ CBT方式試験の注意点
ここまでCBT方式とPBT方式の比較を行ってきましたが、CBT方式固有の注意点があるので、その点を紹介します。
CBT方式の過去問はない
別記事「統計検定2級合格に必要な教材はズバリこの一冊」で著者は、統計検定2級合格には過去問マラソンがおすすめである、と書きました。
しかし、PBT方式の過去問は公式問題集はありますが、CBT方式の過去問はありません。
では、このCBT方式の過去問がないことの何に注意する必要があるのでしょうか?
PBT方式とCBT方式の試験は、試験範囲が同じであり、問われる統計に関する知識も同じであるため、PBT方式の過去問で学習しても、範囲や知識に過不足は出ません。
しかし、CBT方式では、PBT方式と比較して、大問形式の問題が少ないという違いがあります。
PBT方式では、多くの問題が大問形式で出題され、ひとつの大問に対して2~3マーク分、問題が出題される形式となります。しかしCBT方式では、大問形式の問題は少なく、ほとんど問題が1問1答となります。
そして、1問1答形式の問題が多くなることから、その分だけ問題文を読解する時間が必要となり、さらに、頭を切り替える回数も増えることになります。
つまり、統計検定2級合格には過去問マラソンをおすすめしましたが、出題形式が異なってくることから、試験時間内に1問1答形式での問題を解き切るための時間配分術と、1問1答形式に対応できる集中力持続法は、過去問では完全には訓練できないことに注意する必要があります。
CBT方式は問題用紙に書き込みはできない
PBT方式では問題用紙に自由に書き込みができます。
しかし、CBT方式での受験では問題への書き込みは一切できず、試験会場で渡されるA4用紙ですべて対応する必要があります。
そのため、グラフや表形式の問題など問題への対応や、選択肢の中から除外できるものにバツ印をつけるなどの、直接問題用紙に書き込んだ方がスピーディーに対応できるようなことが、CBT方式では行うことができません。
そのため、少しでもCBT形式に慣れるという観点でも、過去問で学習を行う際は、教材への書き込みは一切行わないようにし、別途用意したA4用紙で解く練習をするようにするのが良いと言えます。
CBT方式は問題や自分が解いた内容の情報は持ち帰れない
CBT方式では、問題はパソコン画面上に映し出されるため、問題用紙は存在しません。
そのため、問題用紙に相当するものを試験後持ち帰ることはできません。
さらには、問題を解く際に使用するA4用紙も、試験終了時に回収されます。
そのため、試験の中で解けなかった問題など、あとで確認したい内容があったとしても、一切のメモを持ち帰ることはできないため、その点は留意する必要があります。
まとめ
今回の記事では、統計検定2級のCBT方式試験について紹介しました。
統計検定2級では、先日2021年6月の試験を最後にPBT方式での試験は終了となり、今後全ての試験はCBT方式でのみ受験可能となります。
PBT方式とCBT方式の2つの受験方式を比較すると、
- 試験スタイル
- 受験料
- 受験場所・受験可能日
- 合格水準
- 合否を知れるタイミング
などに違いがあります。
しかし、CBT方式に統一されたことにより、受験生が一方的に不利になるなどということはありません。
ただし、CBT方式では、
- 大問形式の出題が少ないこと
- 渡されたA4用紙だけで全ての問題を解かなくてはならないこと
- 使用した用紙は一切持ち帰ってはいけないこと
などの、CBT方式特有の注意事項もあることも紹介しました。
CBT方式での受験は、私たちが学校でやってきたような試験とは異なるため、慣れうちは違和感があるかもしれません。
しかし、統計検定に限らず、今後あらゆる試験で、CBT方式(または何らかのオンライン試験)の導入が増えていくことは間違いない流れとなりますので、まだCBT方式で試験を受けたことがないという人は、臆せずCBT方式で統計検定を受けてみるのが良いのではないでしょうか。
じゃあ