次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのポータブルスキル

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終身雇用の終焉、経済の衰退、年金制度の無効化など、将来の見通しが立てにくい現在の日本。この状況において30代から50代のビジネスパーソンに能力開発は必要だ、というお話はこれまでにも繰り返しお伝えしてきました。詳しくはビジネスパーソンの能力開発を阻む3つの壁で述べています。

ビジネスパーソンに必要な3つのビジネススキル

米国の経営学者でハーバード大学教授のロバート・カッツは、マネージャーに必要なビジネススキルを大きく3つに整理しました。

コンセプチュアルスキル(概念化能力):知識や情報など複雑な事象を概念化し、物事の本質を理解するためのスキル。一般教養(人文科学・社会科学・自然科学:歴史、哲学、数学)など

ヒューマンスキル(対人関係能力):良好な人間関係の構築に必要となるスキル。コミュニケーション、組織マネジメント、共同体感覚・仲間意識の構築など

テクニカルスキル(業務遂行能力):与えられた職務の遂行に欠かせない知識や技術スキル。ITスキル、デジタルマーケテイング、ビジネス英語、起業/事業開発、ファイナンシャルリテラシー、データサイエンスなど

次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのスキル

このカッツの理論を踏まえたうえで、私たちは第4次産業革命で活躍する次世代ビジネスパーソンに必要なスキルとして、下記の8つを提唱します。

①ITリテラシー
②デジタルマーケティング
③ファイナンシャルリテラシー
④ビジネス英語
⑤データサイエンス
⑥コミュニケーション
⑦起業・事業開発
⑧組織&チームマネジメント

次世代ビジネスパーソンのポータブルスキル

これらはどれも、職場や職種の垣根を越えて通用する汎用性の高いスキル(ポータブルスキル)ばかりです。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①ITリテラシー

「ITリテラシー」とは、我々が社会生活を営むうえで、様々な情報を効果的に発見、獲得、精査、使用、運用できる能力のことです。このスキルの有無により、得られる情報量や仕事のアウトプットの質、セキュリティ面のリスクなどに差が出ます。今後必須になるスキルの筆頭といえます。

②デジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、スマートフォンやPCなどのデジタルデバイスやデジタルテクノロジーなどを活用したマーケティングのことです。自分で新たなサービスやモノを提供したい場合、ターゲットに向けて効果的な情報発信をする必要があります。一方で、各人が1台スマートフォンを持つようになった今、人々はインターネットを通じて自分の好きなタイミングで商品やサービスを検索し、購入前には口コミやECサイトを事前にチェックするなど消費行動も変化しています。このように、消費者自身が積極的に情報収集することが当たり前となった状況下において、自身の商品やサービスを認知してもらうためには、情報発信だけではなく、データの検証や分析、デジタル広告など、あらゆるデジタルツールを活用したデジタルマーケティング施策が欠かせないのです。

③ファイナンシャルリテラシー

ファイナンシャルリテラシーとは、金融や経済に関する知識や判断力のことです。お金に関する知識だけではなく、その知識を使って広くお金を活用できる能力までをも含みます。自身で起業や新たなサービスの展開をする場合、お金に関する知識がない状態では先に進みません。確定申告すらままならないのはもちろん、税金など知らぬ間に損をするリスクもあります。さらに、海外の先進国の多くでは、人々は小さな頃からファイナンスについて学び、複数の収入源をもつという概念を身に付けています。我々も永久に働き続けるわけにはいきません。手元のお金を増やすという意味でも、大事になる知識です。

④ビジネス英語

ビジネルレベルの英語ができることで、外資系企業で働ける、別の国で働けるなどの選択肢が広がります。また、外国人の知り合いができるなど、これまでにないコミュニティーに参加することで知見も広がります。英語は単なるコミュニケーションツールではありません。あなたの選択肢を広げてくれる武器なのです。30〜50代のビジネスパーソンは、これまで仕事などを通じて積み上げた専門性があります。専門性をもった人が英語を身につけるだけで、その希少性は倍になります。

⑤データサイエンス

データサイエンスの手法の一つである統計的を学ぶことにより、意思決定の基準が増え、意思決定の精度も高まります。統計的知見が乏しいビジネスパーソンは、意思決定をする際にどうしても「過去の成功体験」や「勘」に頼りがちですが、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高い時代)な経営環境が強まっている現在では、「過去の成功体験」や「勘」に基づいた意思決定だけでは不確実性が高く、データに基づいた意思決定を行う競合に勝てないことも事実です。また、職場の上司や関連部署のキーパーソン、クライアントや業務提携先、株主や金融機関など多くのステークホルダーを納得させることが必要な場面においても、統計的知見には主観の余地がほぼないため、説得がとても楽になります。

⑥コミュニケーション

コミュニケーション能力は、人間同士がやり取りをするときに、スムーズな意思疎通を可能にする能力です。社会の中で多くの人と関わるうえでは、欠かせない能力です。起業にせよ新規事業の開拓にせよ、最初から最後まで1人で完結できるケースはおそらくないでしょう。どこかの段階で誰かに協力を得る、またはチームとして目標に向かうケースがほとんどです。その場合、周囲の人と適切なコミュニケーションをとることで、良い人間関係を構築でき、自らにとっていい環境を作ることができるのです。

⑦起業・事業開発

起業をする、あるいは企業内で新規事業を担う社内起業家(インタープレナー)のポジションにおいても必須となってくるスキルです。世のニーズを探る「問いを立てる力」に始まり、資金調達能力、事業内容を簡単にアピールできるプレゼンテーション能力、契約書や会社関連法規にまつわる知見など、周辺のあらゆる知識もこのスキルに属します。

⑧組織&チームマネジメント

前述の「⑥コミュニケーション」スキルと重なる部分もありますが、他の人と一緒に仕事を進める上で、必要となるスキルです。特に一定の大きさのチームを形成して進める場合には欠かせないものとなるでしょう。「チームビルディング」や「組織心理学/個人心理学」など、ソフト面に焦点を当てたものから、「人事制度」「労働関連法規」などのルール面まで幅広い分野に及びます。

まとめ:自分の専門性と掛け合わせて相乗効果が高まる分野を考えよう

紹介した8つのスキルはどれも汎用性が高く、職場や職種の垣根を越えて通用するものです。これらを自分の専門性と掛け合わせ、相乗効果が高まる分野を考えることで、開発すべき能力の方向性が見えてきます。

私たちは30代から50代のビジネスパーソン向けに「パラレルキャリア研究会」というコミュニティーを運営しています。当研究会では、上記8つの領域をパラレルキャリア開発の対象とし、それぞれの項目ごとに「興味がある人」と「精通している人」がone on oneで繋がれる環境を目指しています。

入会をご希望の方には、パラレルキャリアについての無料カウンセリングを行っています。私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、パラレルキャリアに少しでも興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。