終身雇用の終焉、経済の衰退、年金制度の無効化など、将来の見通しが立てにくい現在の日本。この状況において30代から50代のビジネスパーソンにとって能力開発は必要であり、今後身につけるべき能力については、次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのポータブルスキルでお伝えしました。
一方で、今後ご自身のどの能力を開発すべきか、または今後ご自身が向かうべき方向性の見定めに苦慮している方もいらっしゃるでしょう。そんな時に有効となるツールが「マンダラート」です。
今回は、皆さんのキャリア開発に役立つマンダラートの作成法をご説明します。
マンダラートとは
マンダラートとは、 仏教に登場する曼荼羅(まんだら)模様のようなマス目状のフレームを使った発想法です。フレームの中心にテーマを設定し、そこから連想されるアイデアやキーワードを周辺のマスへと書いていきます。デザインコンサルタントとして名を馳せた今泉浩晃氏によって1987年に考案されたもので、現在メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が高校生のときに作成していたことで大きく注目されるようになりました。
マンダラートには、次のメリットがあります。
【メリット】
・強制的に72の目標達成要素を絞り出せる
・目標を階層化できる
・視認性が高い
・情報のスクリーニングができる
・すぐにできることと時間をかける必要があることが明確になる
マンダラートは、アイデア発想の手法としてはもちろん、問題や課題の要素を洗い出す際や、目標設定を行う際などさまざまなシーンで活用できます。
マンダラートの作り方
それでは、実際に私のマンダラートを例に、作成方法とそのポイントを順を追ってご説明しましょう。
Step1.中心のキーワードを設定する
チャートの中心に目標やテーマを書き出します。私の例では、『好きな「時間」「場所」「相手」「仕事」を選び労働生産性を高める』を中心のテーマに据えています。
【POINT】
・アイデアを全て書き出してみる
最初から中心のキーワードを書こうとしてもなかなか難しいので、最初は白紙の用紙やマインドマップのツールを使って、自分の中にあるキーワードを単語レベルでとにかく書き出してみることをおすすめします。そして、関係性があるもの同士を線で結んでいき、他のキーワードとのつながりが多いものを中心に据えてみましょう。
・具体的なキーワードにする
ここに入れるキーワードはゴールになるので、一般的には具体的であるほうが良いとされています。その方が、後で他のマトリックスを考えやすいからです。しかし、そのことがネックになって行き詰まってしまうようであれば、必ずしもそれに縛られる必要はありません。中心のキーワードは抽象的なままで、その周りの8つを具体的な行動目標にするというアプローチもあります。
・ワクワクする言葉を選ぶ
大事なのは、自分が見てワクワクするようなキーワードを設定するということです。そうでなければ、そこからアイデアが広がりません。どうやったら気持ちが高揚するか、コピーライティング的な要素も必要になります。
Step2.連想されるキーワードを書き出す
中心のキーワードが決定したら、そこから連想されるキーワードを周辺の8つのマスに書き出します。こちらも、いきなり8つのキーワードを出すのは難しいので、まずは中心の目標を達成するために必要だと思う事すべてを白紙の紙などに書き出し、まとめたものに見出しをつけるというプロセスをおすすめします。
【POINT】
・広い視点で網羅的に考える
このキーワードは、中心の大テーマを達成するための要素となります。達成するための「手段」でも構いません。アイデアの幅は広ければ広いほど良いので、「心技体智」の観点から、網羅的に考えてみましょう。
・キーワード同士のレベル感を揃える
考え出したキーワードを並べてみると、他と比べて内容が具体的すぎるなどレベル感の違いが出ることがあります。その場合は、できるだけキーワード間のレベルを揃えるようにしましょう。過度に意識しすぎる必要はありませんが、キーワード同士のレベルが合っていたほうが、しっくりくるものになります。
・第三者からのフィードバックをもらう
8つのキーワードを作成したら、親しい友人など自分が見せてもいいと思う人からのフィードバックをもらうことをおすすめします。僕も周りの何人かに見てもらいましたが、「これはいいな、取り入れてみよう」という気づきをもらうことができました。この先、8つのマンダラートの作成に移る前に、軌道修正をおすすめします。
Step3.さらにそこから連想されるキーワードを書き出す
Step2で書き出した8つのキーワードを周囲の8マスの中心に書き写し、それぞれのキーワードからさらに連想されるキーワードを書き出していきます。
【POINT】
・具体的な行動目標を書く
中心のキーワードは抽象的でも問題ありませんが、周りに書くキーワードは実際のアクションと直結している方が取り組みやすいです。例えば「勉強する」ではなく、「毎週水曜日の20時から3時間勉強する」など、具体的な行動が見える内容にしましょう。
・少し時間を置いてから見直す
マンダラートを1度作成したら、1週間ほど寝かせてみましょう。ただ完全に寝かせるのでは、スマートフォンでいつでも見られる状況にしておき、電車での移動中などスキマ時間にチェックするようにしましょう。すると「もうちょっといい言葉はないかな」「このキーワード同士は重複しているよな」など、新たな発見があります。その際には内容をどんどん書き換えてください。アップデートすることにより思考の整理が進み、よりしっくりくる内容に整っていきます。最初は「仕込み」の段階で、寝かすことでより「熟成」されるイメージです。
マンダラート作成で困ったら
色々なことに手を付けてはいるものの、総合的にどこを目指してるのか分からないという方は数多くいらっしゃいます。興味あることに片っ端から手を付けるというもの選択肢の一つではありますが、ややもったいない感があります。これまで挑戦してきたこと、自分が興味あることなどを組み合わせて、一つの目標に向かっていった方が効率はよく達成感も得られるでしょう。
前述のように、マンダラートの作成には他者からのフィードバックが有効です。私たちは30代から50代のビジネスパーソン向けにパラレルキャリア研究会という能力開発を目的としたコミュニティーを運営しており、当研究会に興味のある方に、マンダラートを使った無料カウンセリングを行っています。
私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、パラレルキャリアに興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。