自身の能力の向上を図る「能力開発」。これに取り組む必要があるのは学生に限った話ではなく、むしろ社会人こそ積極的に目を向けるべきものです。特に、30代から50代のビジネスパーソンにとって新たな分野を勉強することは、その後の人生を豊かにする大きな礎になります。
能力開発によって自分の希少性を高める
現在の日本は、終身雇用の終焉、日本経済の衰退、年金制度の無効化など、将来の見通しが立てにくい成熟社会になっています。40歳で早期退職希望の対象となり、第2の人生への転換を迫られる、といった例も珍しくはありません。このような時代背景から、1つの本業を追求するのではなく、多様なライフステージに対応できるスキルや経験のポートフォリオをもち、自身の希少性を高めることが大事になっています。
30〜50代のビジネスパーソンは、これまで仕事などを通じて積み上げた専門性、すなわち「強み」があります。この既に会得している自分の専門性に、さらに何かを上乗せすることができれば、その強みが2倍、3倍と掛け算のように増幅し、自分の希少性を高めることができるのです。
能力開発の場としてのパラレルキャリア
教育改革実践家の藤原和博氏は、3つの分野で能力・スキルを高め、それぞれの分野で100人に1人の人財になることができれば、結果として100万人に1人の人材になれると説いています。100万人に1人とは、オリンピックのメダリストレベルです。我々が100万に1人の人財になるためには、1つの分野で優れようとせず、複数の分野でエキスパートになることが必要です。こういった理由から、30代〜50代のビジネスパーソンにとって、これまで培った自身の専門性に上乗せできる強みが大事となってくるのです。
そこで、注目すべきが「パラレルキャリア」です。パラレルキャリアとは、ボランティア活動や自主セミナーの実施、資格を取得して士業として活動する、趣味や特技でプロフェッショナルを目指す、週末起業をするなど、営利・非営利に関係なく「個人が活動するもう1の場所」を作ることです。似ている概念に「副業」がありますが、大きく違うのは「副業」があくまでも「本業」のサブ的な位置づけであるのに対し、パラレルキャリアは、本業を持ちつつ、それと並行して第二のキャリアを築くという点です。このパラレルキャリアは個人の能力開発に大きな役割を果たします。
ビジネスパーソンの能力開発を阻む3つの壁
一方で、ビジネスパーソンが能力開発に取り組む上での課題もあります。その阻害要因、すなわち「壁」は大きく3つに分類できます。
①「何を」始めたらいいかわからない
②「何から」始めたらいいかわからない
③勉強時間を確保できない
それぞれの阻害要因について、細かく見ていきましょう。
①「何を」始めたらいいかわからない
今後のキャリアのために自分の強みを活かした能力開発をしたい、という意欲はあるものの、具体的に何を始めたらいいかわからないケースです。何に着手すべきか、指針のないまま無闇に行動に移してしまうと、後から方向性の違いに気づいた場合に非常に大きな時間と労力のロスになります。「何を始めるべきか」という問いは、自身の目標に照らし合わせて初めて明らかになるものです。まずは自身と向き合い、達成したいゴールをできるだけ具体的にイメージする必要があります。
②「何から」始めたらいいかわからない
データサイエンスやファイナンシャルリテラシーなど、自身の目標とする開発能力は決まっているものの「何から」始めたらいいのかわからないというケースです。高校や大学受験、あるいは資格試験をイメージして頂ければわかりやすいでしょう。現在は解説書などの教材やノウハウ本のほか、YouTubeでの無料講座など、さまざまな学習ツールが存在します。独学が難しい分野であるほど学習の筋道を立てるのも困難になり、また個人差もあるため一概に判断がしにくいものでもあります。
③勉強時間を確保できない
皆さんは「嫁ブロック」という言葉をご存知でしょうか。これは既婚男性が妻からの反対で内定辞退や転職そのものを断念することを指すものです。かつては人材採用担当者や転職エージェントなどが使っていた業界用語でしたが、近年は世間的にも認知される言葉となっています。パートナーがいる場合、自身の能力開発に労力を傾けるために生活リズムを変えようとしても、相手がいい顔をしない、ということもあり得ます。あるいは平日は仕事、休日は家族サービスと、能力開発に使える時間がそもそもない、という方もいらっしゃるでしょう。さらにお子様がいたり、家のローンなども抱えている状況であれば、自ずと金銭的な縛りも発生します。このように物理的な要因で能力開発が阻害されるという事例も存在します。
まとめ:
今後の人生を考えた場合に、30代から50代のビジネスパーソンにとって能力開発が大切なことは間違いありません。現在のご自身への投資が、将来的に大きなリターンとなって返ってくるからです。一方で、上記のような阻害要因から、能力開発が捗らないという状況も現実問題として存在します。自身の能力開発が思うように進まないという人は、まずはこの3つのうち、どこで自分が行き詰まっているのか状況を整理してみることをおすすめします。
能力開発においては「同じ分野に興味がある仲間でチームをつくり互いに学ぶ」ということが有効です。共感しあえる仲間と興味あることを学ぶことで、チーム内での信用が高まり、新たなコラボが創出されます。職場でも友達でもない第3のコミュニティーを作ることが、能力開発を進める近道となります。
会社や個人では、本当の意味での「働き方改革」「生き方改革」の実現は難しいという課題感から、私たちは30代〜50代のビジネスパーソンの能力開発やパラレルキャリアを実現するための「パラレルキャリア研究会」というコミュニティーを立ち上げ活動しています。
私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、パラレルキャリアに少しでも興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。