ビジネスパーソンが今すぐカタカナ英語をやめるべき理由

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日本人が英語を話せない2つの要因でも指摘しているとおり、日本人は英語力において特に「発音」に弱点を抱えています。英語を構成する「語彙力(単語)」「発音」「文法」の3つの要素のうち、多くの日本人は「語彙力(単語)」と「文法」の勉強に注力してきたため、「発音」は英語の勉強がスタートした中学校1年生レベルで止まっており、このことが総合的な英語力の足を引っ張っている状態となっています。

特に日本人の発音に顕著なのが「カタカナ英語」です。英語での会話中に、気がつくとついカタカナ英語を話してしまっている、という人は少なくないでしょう。しかし、ビジネスの場はもとより普段のコミュニケーションの場においても、カタカナ英語はやめるべきです。今回は、ビジネスパーソンがカタカナ英語を使うことで生じるデメリットについてお話します。

カタカナ英語は2割程度しか通じていない

カタカナ英語の是非を論じる前に、まず私達がカタカナ英語を使うシチュエーションを考えてみましょう。多くの場合、日本人同士での英会話でカタカナ英語を使うことが多いのではないでしょうか。確かにその場合はカタカナ英語でも通じるので、ある意味で問題はないと言えます。

しかし、「日本人が英語を話せない2つの要因」でお話していますが、日本人の英語に触れたことのない英語ネイティブに、カタカナ英語は2割程度しか通じないと言われています。簡単に言えば、日本語の発音を知っている相手にしか、カタカナは通用しないのです。そのため、カタカナ英語を理解できる相手というのは日本人か、ある程度日本語を理解できる外国人と考えられます。この状況では、相手とは日本語でも話が通じるため、そもそも英語で話す必要がありません。

カタカナ英語はコミュニケーションの障壁になる

相手と英語で話す必要があるのは、その人との共通言語が英語しかない場合です。そのような相手にカタカナ英語はほぼ通じません。このような状況でカタカナ英語を話し続けていた場合、相手は聞いてるふりをしてくれるかもしれませんが、実際は「この人が何を言っているのか分からない」状態です。会話の意味が通じるどころか、記憶にも残らないでしょう。最悪の場合、話の分からない相手とのコミュニケーション自体を負担に感じ、距離を置かれてしまうかもしれません。

他方、「30代から50代のビジネスパーソンが英語を学ぶべき理由」でも触れていますが、ネイティブスピーカー相手にきちんとした英語を話せるだけで、知的な印象が2段階アップするという話もあります。片言の日本語を話すタレントのボビー・オロゴン氏と、流暢な日本語を話すパックンが同じ内容の話をしても、受け取る印象がだいぶ異なるのはご理解頂けるかと思います。カタカナ英語を改めるだけで、聞き手への負担は少なくなり、自身の知的な印象も底上げできるのです。

なぜ我々はカタカナ英語を話してしまうのか

これらのデメリットがあるにも関わらず、なぜ私達はカタカナ英語を話してしまうのでしょうか。それは、一言で言えば「発音記号が分からない」からです。これまで日本で英語教育を受けてきた方で、発音記号を理解して正しく発音できるという方はほとんどいないと思います。例えば、日本語は「ア」の音は一つしかありませんが、英語には5つの「ア」があり、発音記号では「ʌ」「æ」「ɑ」「ə」「a」で表記されます。しかし、発音記号を知らないと、聞こえてきた英語の音を全て日本語の「ア」の音で理解しようとしてしまいます。人間は、認識していないものは話すことができないため、カタカナ英語から抜け出せないのです。

一方で、発音記号が分かるようになると、この音は日本語の「ア」に近いけれども厳密には違う、「イ」に近い音でもこういう音がある、「エ」に近い母音はこういう音がある、というように、細かい音の違いを認識できるようになります。そのため発音記号は重要であり、まず最初に学ぶべき事項です。日本人の英語の発音についてはYouTuberの「だいじろー」氏が動画を多く出していますので、興味のある方は参考にしてみてください。

まずはフォニックスで正しいアルファベットの発音を学ぶべし

発音記号の前提となるアルファベットの発音を学ぶには、フォニックス(Phonics)という、文字と発音を対応させた音声学習法が非常に有用です。我々は普段、「abc」を「エー、ビー、シー」と発音しますが、フォニックスでは「ア、ブ、ク」と発音します。全てのアルファベットを正しく発音できるようになったら、今度は英単語をフォニックスに当てはめて発音していきます。例えば、「Bag」であればB「ブ」a「ア」g「グ」となります。26個のフォニックスを覚えてしまえば、75%の単語を発音できるようになると言われています。

単語の発音から文章の発音へと発展させる

アルファベットがひととおり発音できるようになったら、今度は発音記号を学んでいきます。特に母音は「アイウエオ」のように聞こえても、実際にはさまざまな音があるので、その違いを勉強しましょう。英語の発音記号は、子音を入れても全部で50個以下であるため、単語の勉強に比べればそう大変ではありません。

発音記号に対応する発音を結びつけて覚えるには、単体で覚えるのではなく、その音が使われている単語で覚えるのがおすすめです。その単語を正しく発音できるようになれば、発音の仕方を忘れてしまった時も、英単語をきっかけに思い出せるようになります。この際の英単語は、中学生レベルの簡単なもので構いません。また、ほとんどの単語帳には発音記号と音声データもついているので、発音チェックのために単語帳を使うのがおすすめです。

それぞれの単語レベルで発音が分かるようになったら、次は文章での音の変化を学びましょう。英語は文章によっても音が変化していきます。発音記号が分かるようになったらネイティブの発音を、恥ずかしがらずにどんどんものまねしてみましょう。

習得するのはアメリカ英語が無難

英語にもいろいろ種類がありますが、コミュニケーションの観点から言うと、アメリカ英語を習得するのが無難だと思います。私も出張などでガーナを始めとしたいろいろな国に行きますが、基本的にアメリカ英語であればどこでも通じます。なぜかというと、小さい頃にディズニーのアニメやアメリカ映画、アメリカのCNNニュースなどを見ているからです。そのため、アメリカ英語の発音が嫌いという人はいても、英語教育を受けている人でアメリカ英語が分からないという人は基本的にいません。実際のところ、ガーナはイギリスの植民地だったことから、イギリス英語寄りの英語を話しますが、アメリカ英語のアクセントや、アメリカ英語に特有の単語も理解されます。例えば、ガソリンスタンドのことをイギリス英語では「ペトロステーション」、アメリカ英語では「ガスステーション」と表現しますが、ガーナでも「ガスステーション」は通じます。

しかし、その逆でアメリカ英語しか知らない人にイギリス英語で話をしても通じないことは結構な頻度で経験があります。そのため、アメリカ英語をやっておくのが一番無難でしょう。アメリカも東海岸と西海岸で発音は異なりますが、これは特にどちらでも構いません。あまりに田舎のなまりがある英語は止めた方がいいと思いますが、日本人が知っているような大都市で喋られている英語であれば問題ありません。

まとめ:

油断するとついつい話してしまいがちなカタカナ英語ですが、発音を重視する英会話においては厳禁です。聞き手に負担をかけないため、また自身の知的印象を落とさないためにもカタカナ英語は卒業しましょう。正しい発音を身につけるためには、発音記号の理解が大切です。具体的な勉強法については「これをやれば飛躍的に伸びる!ビジネス英語勉強法【発音編】」にて詳しくご説明していますので、そちらをご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。