「話す」をメインにした英語の相互学習の進め方

「話す」をメインにした英語の相互学習の進め方のアイキャッチです

英語を構成する「語彙力(単語)」「発音」「文法」の3要素のうち、英語の学び直しをしたい社会人が注力すべきは「発音」という点については、「英語の学び直しをしたい社会人が「発音」に注力すべき理由」にてお話しました。同記事内で、「発音」の勉強をするためには英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能のうち、「話す」からスタートすべきだともお伝えしています。

一方で、これら「語彙力」「発音」「文法」という3つの柱はそれぞれ独立しているわけではなく、相互に関連し合っています。今回は「話す」ための勉強法を軸に、「文法」「語彙力」の相互学習の考え方をお話します。

英語を「話す」ためには「文法」も大切

ビジネスパーソンが今すぐカタカナ英語をやめるべき理由の中でもお伝えしているように、英会話においては正しい発音で「話す」ことが大事です。この「話す」際には当然、「文法」が必要になります。文法を知らない状態では、ただ単語を並べるだけになってしまいます。簡単な用事を済ますだけならばそれでいいですが、喜怒哀楽といった自分の感情を伝える、物事の詳細を正確に描写するのは難しいと思います。自分の言いたいニュアンスなどが正確に伝わらない、誤解を招いてしまうなど、もどかしい思いをすることになるでしょう。異文化コミュニケーションにおいては文法を知らないと、「話す」にすぐ限界値がきてしまうのです。

会話はその時々でリアルタイムに行われるものですから、考える時間は基本的にありません。そのため、話すときの英文法は、直感的に出てくるレベルにまでならなければいけません。これまで学校で勉強したよりもやや高いレベルでの身体への浸透度が求められます。文法の知識の幅広さなどではなく、リアルタイムで反応できるような、身体に染みこんだ状態が求められるのです。

一方で、会話の中で複雑な英文法ははあまり使われません。関係代名詞や分詞、動詞、助動詞、時制、文型といった、ほぼ中学生レベルの文法で充分です。逆を言えば、この程度は知っておかないと話せません。これらの簡単な文法を、参考書などを見なくても自分で説明できる、頭の中ですぐ思い浮かぶレベルになっておくことが必要です。

「話す」ための単語数はそれほど必要ではない

「話す」に関して言えば、「読む」に比べて「語彙力」はそれほど必要ではありません。極端な話をすれば、中学校で習うような単語だけを組み合わせても会話は成立すると言われています。基本動詞だけでも、前置詞などと組み合わせることでボキャブラリーはある程度広がります。そのため、そこまで単語量を増やさずとも大丈夫です。ご自身の専門性を発揮する場面では、その分野に応じた専門用語も知っておかなければいけませんが、日常のコミュニケーションだけを考えれば、「語彙力」はそこまで重要視しなくてもいいと思います。

もちろん、「語彙力」は最終的は高めた方がいいとは思いますが、以前にも話したように、「発音」と「文法」には限りがあり、参考書1冊に収まってしまうレベルです。特に「発音」は100〜150ページ程度で収まってしまいます。文法も厚くても本1冊にまとまっているので、それを大体知っておけば充分です。しかし、単語は例え2万語を覚えたとしても、まだまだ未知の単語は登場しますので、限りがありません。そのため、単語は英語学習において継続的な学習が求められます。

よく、本屋に「ネイティブも驚くような単語集」云々といった難解な英単語本が売られていますが、実際のところ、その単語を会話で使ったところで、そんなにポジティブな効果はありません(笑)。日本においてもやけに難しい単語を知っている日本語学習者に出会うこともありますが、それはもう趣味の領域なので、そのことによって特に印象が良くなることはないと思います。自分の専門領域についての特殊な単語を使うなら別ですが、単なる日常会話において難しい表現を外国人が使っていたとしても、「変わってるな」と思われるだけです(笑)。そのため、単語力の強化だけに注力するのは、あまりコスパが良くないのでおすすめできません。

単語帳を発音の確認のため使うのはアリ

一方で、私は単語帳を「発音」を確認するために使っています。多くの単語帳には発音記号も一緒に書いてあります。発音記号通り正確に発音できることは英語学習においてマストですから、発音記号をもとにそれぞれの単語の発音を確認していきます。最近の単語帳は音声データも付属していることが多いので、発音記号と音声データが揃っている単語帳を選びましょう。

さらに、英語は文章になった場合に「t」の音が発音されない(ストップ T)、母音が重なると一個の母音の音がなくなるなど、単語の音の変化が起こるので、できれば例文の音声が付属しているものが望ましいです。そうすると、文章レベルで発音ができるようになります。このように、単語帳は単語を覚えるというよりも、発音をチェックするために使うべきだと私は思っています。そのため、難しい単語帳ではなく、発音チェックや例文を正しく読めるようになる練習に適したものを買うのがおすすめです。

まとめ:

英語の学び直しにおいては、最初は「発音」の矯正に着手するべきですが、そのうち文章レベルで発音できるようになったら、次は自分の話せる分野を広げるために、話すための「文法」の勉強に移りましょう。そして、話すための「文法」ができて余裕ができたら、自分の知っている単語を正しく発音できるか、その単語が含まれる文章を正しく発音できるか、といった具合に「発音」をメインに「文法」と「単語力」の相互学習を進めていくのが効果的です。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。