新時代のデジタル人材に求められる7つの能力

新時代のデジタル人材に求められる7つの能力のアイキャッチです

私はデジタルトランスフォーメーション(DX)時代に求められるマインドセットの中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進むこれからの世界では、デジタルに関する事柄を横断的に理解できる「理系と文系のハイブリッド人材」が求められるという点についてお伝えしました。今回は、そのデジタル人材に求められる具体的なスキルについてお話します。

これからのデジタル人材に求められる7つの能力

私は、これからのデジタルトランスフォーメーション時代に求められる人材になるためには、下記の7つの能力が大切だと考えます。

①デジタルテクノロジー
②プログラミングスキル
③情報技術処理
④統計学・数学
⑤プロジェクトマネジメント
⑥ビジネス英語
⑦コンサルティング

①から④までは理系の性質をもつハードスキルであり、⑤から⑦に関しては文系の性質を持つソフトスキルです。それぞれについて詳しくみていきましょう。

ハードスキル(理系)

①デジタルテクノロジー
→AI、5G、自動運転、量子コンピュータ、ブロックチェーン、NFTなど

現在ではAIや5G、自動運転や量子コンピューター、ブロックチェーン、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」など、業界構造そのものを変えるような新しいデジタルテクノロジーが次々に登場しています。今後は、そのようなテクノロジーの動向が自分の属する業界にどう影響を及ぼすかを考える力が求められます。そのためにはまず、最新のテクノロジーについて理解している必要があります。

②プログラミングスキル
→フロント 、 バックエンド、 インフラ 、アプリなど

何かを開発する際にプログラミングの知識がなければ、費用感やスケジュールについて見通しを立てることができません。そもそも、プログラミングで実現できることとできないことの判断がつかないため、どの程度のレベルのエンジニアを揃える必要があるのかなども見当がつきません。このような状況を回避し、効果的な見通しを立てられるようになるためにも、プログラミングに関する知見が求められます。

③情報技術処理
→ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、システム構成技術、プログラミング言語、セキュリティ

パソコンやスマートフォンなどのハードウェアやソフトウェアの仕組み、パソコンがネットワークにどうやってつながって通信をしているのかという基本的な知識はもちろん、今後は顧客や商品などの情報をクラウドのデータベース上で管理するようになるため、その仕組みを知っておく必要もがあります。さらに、保守運用やセキュリティ面からシステム構成やプログラミング言語についても知見があることも望まれます。

④統計学・数学
→基礎統計学、多変量解析、線形代数、微分積分

在庫予測や需要予測などのモデリングやリコメンドエンジンの作成、ユーザーごとの異なるメール配信や、ユーザーを属性ごとにグルーピングするなどのカスタマイズをする場合には統計の知識や考え方がベースとなってきます。そのため、これらの分野の知識も蓄えておく必要があります。

理系の要素としてはこの4つがありますが、これらを極めるだけではいちエンジニアで終わってしまいます。そのような状況から一歩抜け出し、希少性を高めるために以下の文系的なソフトスキルが必要となるのです。

ソフトスキル(文系)

⑤プロジェクトマネジメント
→スケジューリング、見積り、進捗管理、チームマネジメント

プロジェクトリーダーになることを想定した場合、スケジューリング、見積り、進捗管理、チームマネジメントなど、プロジェクトを管理するスキルが必要です。一方で、スケジュールや見積もりを作成するためには、先にご説明したプログラミングスキルなど理系の知識が下支えとして必要となります。プロジェクトマネジメント能力はもちろん必要ではありますが、同時にハードウェアやITの知識も蓄えておかないと、メンバーとうまく関係性を築けず、メンバーからリスペクトされないことも起こりえます。

⑥ビジネス英語
→聞く、話す、読む、書く

IT業界では知識のアップデートやトレンドのアップデートが頻繁に起こります。新しい技術は外国から入ってくることが多いため、英語ができれば新しい情報をいち早く収集できます。これは他の人と比べると圧倒的に有利です。さらにITに国境はありません。そのため、英語ができればどこでも働くことができます。私も最近になってガーナを訪れましたが(詳しくは「書籍『ファクトフルネス』と現地で見たガーナの経済成長と課題」を参照)、ガーナでも何一つ齟齬なくITの話ができます。英語ができると働く世界も広がります。英語でITの話ができる人は日本にそうそうはいないため、英語ができると非常に重宝されます。

⑦コンサルティング
→戦略思考、課題解決、プレゼン力、レポーティング力

ITの技術というのは基本的に、会社の経営課題を解決したり、会社の強みを作ったりするための手段です。そのため技術ありきではなく、それを使ってどのような会社の問題を解決できるか、強みを作れるか、会社の戦略やビジョンをどうやって実現するのかを考えられることが重要になります。さらに、事業は1人ではできないので、資金調達のために相手を説得するプレゼンテーションや、業績結果をレポーティングする能力も必要になります。

専門家になる必要はない!70%〜80%の知識習得を目指す

もちろん、最初からこれら全てを習得する必要はなく、またそれぞれに専門性をもてるほど深い知識を身につける必要はありません。全部を深く知ろうとは思わず、まずは1つの分野に集中して、5年から6年をかけて70%から80%の知識を得ることを目標にしましょう。元々自分の専門分野がある方は、そこから隣の分野に知識を広く浅く広げていくイメージです。それぞれに知識の相乗効果があるので、他の分野の知識習得もそこまで抵抗なく進められるはずです。どの分野も専門家になる必要はなく、専門家と話ができる程度の知識を蓄えることが目標です。デジタルに関わる全体像を俯瞰できるようになることが重要なのです。そして、それができている人とできていない人では雲泥の差があります。これらを身につけた「理系と文系のハイブリッド人材」こそが次世代のデジタル人材です。

デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に求められるマインドセットの中で、私はデジタル業界は経験の積み重ねによるレバレッジが働かない分野だと述べました。しかし、このように理系と文系の両方の知識をもって全体を見ることができる人は、能力の獲得に時間が必要なぶん、長期的なデジタル人材として重宝されます。ここに40代から50代の社会人がもつ経験が生かされるのです。現在のところ、これらを両方の能力を持つ人材はそうそういません。そのため非常に希少性が高く、たとえばGoogleやFacebookなどは理系と文系の両方の知見をもつデータサイエンティスト(次世代のデジタル人材の一例)に5,000〜6,000万円の年収を支払うのです。

まとめ:

今後デジタルトランスフォーメーションが進む伝統的な業界だけでなく、IT業界でも文系と理系のハイブリッドな能力を兼ね備えたデジタル人材が求められています。2つの分野にまたがる知識を兼ね備える必要があるところが非常にハードルが高いですが、そのぶん希少性も高まります。今後のデジタルトランスフォーメーションを見据え、これら7つの能力を身につけることは非常に有意義だといえるでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

30代から50代のビジネスパーソンの能力開発を支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。