上司から市場動向について調べておいてと依頼されたらあなたはどのように調べますか。シンクタンクが提供している業界動向調査は数十万円と高額であるため、初期段階ではインターネットなどで公開されている情報に基づいて調査を行います。今回は、デスクトップ調査でよく使われている、公開情報と活用方法についてまとめてみたいと思います。
ファクトファインディングに公開情報を活用
業界動向を分析するフレームワークとしてよく用いられるのが、「PESTEL分析」、「SWOT分析」、「3C分析」です。フレームワークを使うことでMECEに業界動向を調べることができます。また、業界動向調査ではファクトファインディングが大切です。業界動向調査ではクライアントから根拠となる定量データを求められます。直接的な調査データがなければ、フェルミ推定をするために利用者数や利用頻度、平均購入金額などを用いて市場規模を推定する必要があります。フェルミ推定をする場合でも、利用者数や利用頻度などについては定量的なデータが必要です。
業界動向調査の信頼性を担保するのが公開情報です。MBAバンクでコンサルタントをするなら知っておいた方がよい公開情報をいくつかご紹介します。
インターネットの公開情報
多くのインターネット調査会社は潜在顧客を集客するために自主調査を実施しており、その調査結果を公開データとして掲載しています。有名な自主調査レポートは、「楽天リサーチ」「マクロミル自主調査レポート」「HONTE by マクロミル」「矢野経済研究所」「東京商工リサーチ」などが挙げられます。これらの自主調査は、定期的に同じ内容の調査を実施していますので、時系列で見てみると顧客ニーズがどのように変化しているかが推察できます。
※季節行事やトレンドをテーマに自主的に実施した調査結果データを公開
- マクロミル自主調査レポート・ホワイトペーパー:https://www1.macromill.com/contact/ja/reports.php
- HONOTE(ホノテ) byマクロミル:https://honote.macromill.com/
- 矢野経済研究所:https://www.yano.co.jp/market_reports/index.php
- 東京商工リサーチ:http://www.tsr-net.co.jp/service/product/tsr_van2/market
また公的な調査データとして官庁から白書などが公開されています。官庁の公開データの特徴は、調査で得たローデータも公開していることです。ローデータを用いて統計分析をすることで公開されている調査結果をさらに深掘りすることができます。調べたい関連業界の資料があれば、定期的に参照するとよいでしょう。
【公的な調査データ】
- 総務省統計局:http://www.stat.go.jp/
- 総務省情報通信白書:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/index.html
- 経産省各種白書・報告書:http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/index.html
- 文科省統計情報:http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/main_b8.htm
- 国土交通省統計情報:http://www.mlit.go.jp/statistics/details/
- 国土交通省観光庁:http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/
業種別審査事典や業種別業界情報を利用すれば特定業種の動向が分かる
シンクタンクが業界動向を調べるときによく利用するのが、「業種別審査事典」と「業種別業界情報」です。業種別審査事典は金融機関が融資先を審査するときのチェックポイントが書かれている事典ですが、業界動向や同業他社の財務情報などが掲載されているため、業界動向を調べる場合にも役立ちます。業種別業界情報は業種別審査事典と比較してマーケティング寄りの業界動向が書かれています。
例えば、サービス業であればエステティックサロン、保育園、クリーニング業などといった小区分の業種まで動向を調べることできます。小売業であれば家電量販店、コンビニエンスストア、食品スーパーなどの業種について情報を得ることができます。2つの事典とも購入すると数十万円と高額ですが、市町村で一番大きい図書館に置いてあったりするのでインターネットで調べてみましょう。また、私用目的であれば図書館の閲覧室でコピーを取ることができますので活用してみてください。
- 業種別審査事典の目次:https://store.kinzai.jp/public/item/book/B/13507/
- 業種別業界情報の目次:http://www.keijo.co.jp/02_list_top.html
まとめ:
外部環境分析の信頼性を担保するために公開情報を活用しましょう。ただし、インターネットには掲載されている公開情報には調査方法がいい加減だったり、分析内容がおかしい情報が多くありますので、出所や調査時期、調査方法やサンプル数などが適切であるか確認することが大切です。