社会人の能力開発の方向性を考える2つの視点

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年功序列制度が崩壊しつつある昨今、30代から50代の次世代を担うビジネスパーソンにとって、新たな分野での能力の向上を図る「能力開発(キャリア開発)」は必須であり、社会人の学び直しである「リカレント教育」が重要だという点については希少性を高めたい社会人に「学び直し」が必要な理由でお話しました。この、社会人の能力開発を考えた場合に「何を学ぶのか」という視点はとても重要です。今回は社会人の能力開発の方向性を考えるうえで重要となる2つの視点についてお話します。

社会人の勉強の方向性はスポーツ選手の競技選択と同じ

私は、社会人の能力開発の方向性というのはスポーツ選手における競技の選択と同じだと思っています。例えば相撲は日本でしか行われていないスポーツであり、横綱になったとしても「日本国内でのチャンピオン」にとどまる一方で、サッカーや野球など世界で通用するような競技もあります。

またどの分野で超一流になるのかによって収入も変わります。同じく第一線で活躍する選手の年収を考えた場合に、卓球やバドミントンよりも野球選手のほうが収入が高いです。さらに、野球選手であれば超一流の選手でなくてもある程度の収入は見込めますが、マイナーなスポーツでは上位の選手でも食べていくのがやっとであるという事実もあります。タレントの武井壮さんはかつて陸上の十種競技の日本チャンピオンでしたが、それでも年収が100~200万円だったという旨の発言もされています。これは学びについても同様で、今後学ぶ分野によって自身の市場価値も変化するのです。

社会人の「学び」の方向性を考える2つのポイント

私は社会人の「学び」の分野を考える際に、

①希少性が高いか夥多か
②ローカルかグローバルか

この2軸が大切だと思っています。それぞれについて見ていきましょう。

①希少性が高いか夥多か

まず考えるべきは、その分野自体の希少性が高いかどうかです。希少性が高い分野というのは、独自の技術や経験の積み重ねが必要であるなど、参入障壁が高い分野のことです。逆に、技術がマニュアル化されているなど誰でもできてしまうものは、希少性が低い状態(夥多)になります。

具体的に言えば、日本の伝統工芸を担う職人は独自の技術や経験が必要なため希少性は高いといえます。IT・インターネット系(ソフトウェア)もマニュアルが存在しないため、希少性は高いです。中でもデータサイエンスなどは大学卒業程度の数学の知識が必要となるため、より希少性も高くなります。逆に同じIT分野でもプログラミングは文系の方や専門学校を卒業された方でも習得できてしまうので、参入障壁は低く夥多に近いです。

一方で、士業はほとんどの場合経験や技術は必要なく、知識さえ習得すれば誰でもなれてしまうという点で参入障壁が低いです。また、ハードウェア(ものづくり)はマニュアル化されているため誰にでも真似ができ、取って変わられる可能性があるという点で同様です。

30代から40代の社会人はこれまでにある程度の経験を積んでいるので、それをさらに活かせるように希少性が高い分野を学ぶほうがいいでしょう。20代から30代の人でもやれるようなことを学ぶのは得策ではありません。

②ローカルかグローバルか

次に重要となるのが、市場がローカルに限定されるのかグローバルでも通用するものなのかという点です。日本はこれまで世界の中でも給料の高い国だったのですが、今ではシンガポールや中国などの方が給料は高くなっています。そのため、グローバルで通用するかどうかで収入がまるで変わります。同じ能力であってもグローバルで事業を展開する企業のほうがより多くのお金を得られるのです。

グローバルの会社ではクビになるリスクは当然ありますが、そのぶん次の就職先も見つけやすいです。日本は年功序列の風潮が残っているため、40歳を過ぎると労働市場が狭くなり再就職が難しくなりますが、海外では基本的に年齢は関係ありません。その意味でも、年を取ったときに日本だけでしか生きていけないと、働く場所の選択肢は限りなく少なくなってくるのが現実です。

こちらも先程の例でいうと、IT・インターネット(ソフトウェア)は世界でも通用します。私は時折西アフリカ・ガーナに出張をする機会があり、その際に強く思うのですが、ITやソフトウェアというのは世界共通です。パソコンが動く仕組みやメール送信の仕組みというのは世界のどこでも一緒です。その視点でいうと、ITやインターネットの分野以上に世界共通の分野はないのではないかと思います。これに限らず、数学など理系の科目ほぼそうだと思います。ハードウェア(ものづくり)もマニュアル化されている分、グローバルでも通用します。

一方で、日本の伝統工芸を担う職人は、希少性は高いですが日本国内でしか通用しません。また、士業も日本の法律を扱うため、国が変わると全く通用しません。

これらを表にまとめると下のようになります。

ローカルな分野をグローバルに変えるツールが「英語」

先にローカルとグローバルという視点のお話をしましたが、このローカル寄りの分野をグローバルに変えることのできるツールが「英語」です。世界に通じる分野でなくても、自分自身がコンテンツをグローバルに向けてアウトプットできるというだけで市場価値が大きく上がります。ドラクエでいえば、戦闘力が2倍になる「バイキルト」という呪文のイメーです。戦闘力が0では何も変化は起こりませんが、元の戦闘力が100であれば200になります。社会人においては、戦闘力をこれまでに蓄えた経験と考えてみてください。

そういった意味では、日本の伝統技術は海外でブランド力があるため、職人が語学を身に付ければさらに価値が高まると思います。日本の寿司職人は海外で引く手あまたの状態にあります。海外に行ってみると、何が海外で通用するかがわかるようになります。こういった実情を踏まえて、これから能力開発しようとする分野が日本だけでとどまるものなのか、世界でも通じるのかを考えるのは重要です。

まとめ:

社会人にとって能力開発は重要ですが、学ぶ前に労働市場を俯瞰することが重要です。一番重要視してしかるべきは「希少性」で、その次に「グローバルかローカルか」という視点です。この両軸で自身の学びたい分野について考えてみましょう。

もしも、自分の勉強したい(している)分野がローカルの場合は、英語を身につけてグローバルにアウトプットができるようになるだけでも価値は2倍以上になります。英語の詳しい勉強法については他の記事にてお話していますので、参考にしてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代から50代のビジネスパーソンの能力開発を支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。