ビジネスパーソンの英語学習に役立つ資格試験

社会人の英語学習に役立つ資格試験のアイキャッチです

第4次産業革命で活躍する次世代ビジネスパーソンにとって、ビジネス英語のスキルが必要であるという点については、次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのポータブルスキルでお話しました。そして、ビジネス英語の勉強法については下記の記事で詳しく解説しています。

これをやれば飛躍的に伸びる!ビジネス英語勉強法【語彙力編】
これをやれば飛躍的に伸びる!ビジネス英語勉強法【発音編】

私達の多くにとって母語ではない英語を習得するためには日々の勉強は欠かせませんが、勉強を進めていくにあたり、目標を定めたほうがモチベーションを維持しやすいという方もいるでしょう。そこで、今回は社会人の英語学習におすすめの資格試験をご紹介します。

社会人の英語学習に役立つ試験4つ

まず最初に、私が考える社会人の英語学習に役立つ資格試験を4つご紹介します。

・TOEFL(4技能試験)

主に大学・大学院レベルのアカデミックな場面で必要とされる、英語運用能力を測定する試験。アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなどの英語圏の大学・機関だけでなく、世界150か国、11,000以上の大学・機関で活用されており、日本国内でも大学入試、大学院入試、単位認定、教員・公務員試験や国際機関の採用の場などで活用が広がっている。「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能をバランスよく測定し、国際標準CEFR B1~C1に連動したスコアで評価される。4技能の各セクションのスコアが0〜30、総合スコア0〜120。

・IELTS(4技能試験)

海外留学や研修のために英語力を証明する必要がある場合や、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に適しているテスト。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関で認められており、アメリカでも TOEFLに代わる試験として入学審査の際に採用する教育機関が3,000を超えている。日本国内での入試でも採用が広がっている。スピーキングは面接官との対面式。4技能ごとに、1(最低)から9(最高)の段階評価で示され、総合評価としてのオーバーオール・バンドスコアが0.5刻みで示される。

・英検(4技能試験)

年に3回実施される国内最大規模の英語検定試験。5級(初級)、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級(上級)の7つのグレードに分かれており、合否と英検CSEスコアで試験結果がフィードバックされる。試験問題は全てオリジナルかつ4技能のバランスを重視しており、身の回りの日常会話から教養を深める社会的な題材まで、社会一般で求められる実用英語が出題される。高校や大学での入試活用や、海外留学時の優遇、教員採用試験時の優遇など、社会のさまざまな場面で広く認められている。

・TOEIC

TOEIC Programには「TOEIC Tests」「TOEIC Bridge Tests」という2つのテストブランドがありそれぞれ4技能のスキルを測定できるが、一般的に「TOEIC」と言えば、聞く・読む力を測る「TOEIC Listening & Reading Test」を指すことが多い。日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定することを目標にしており、世界160カ国で実施されている。知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定し、結果は合格・不合格ではなく10~990の5点刻みのスコアで評価される。

それではこれらの試験をどのように選択すればよいのでしょうか。

学習の目的と学習者の属性によって有効な資格試験は異なる

まず、資格試験を目指すに当たり英語を学習する目的と、学習者の属性をはっきりさせましょう。具体的には、下記のような例が考えられます。

①学習目的:留学、入試、昇進、海外赴任、就職、転職、etc…
②学習者:小学生、中学生、大学生、社会人、etc…

これら①と②の掛け合わせによって有効な資格試験は異なります。例えば、留学を目指す大学生であれば「TOEFL」がおすすめですし、転職のために英語力が必要であれば「TOEIC」がおすすめです。今回は、学習者を「社会人」と想定し、話を進めていきます。

社会人のビジネス英語習得の目的は大きく3つ

社会人が英語を学習する目的としては、

(1)資格そのものが必須
(2)実務で英語が必要
(3)自身のスキルアップ

以上の3点が考えられます。

(1)の「資格そのものが必須」というのは、転職や昇進の際に特定の資格試験の取得が求められることです。日系大手企業への応募条件にTOEICでの一定以上の点数が求められたり、また最近では昇進の条件としてTOEIC600点以上、海外赴任をするためにはTOEIC700点以上といった基準を設けている会社も増えています。

(2)「実務で英語が必要」というケースは、特に特定の資格件の取得は求められていないけれども、日々のやり取りの中で英語が必要となるケースです。この場合、英語で仕事ができる3つのレベルというものが存在し、そのレベルによって受けるべき資格試験も変わります。

(3)自身のスキルアップというのは、差し迫って特定の資格試験の取得が必要ではないものの、自己研鑽や将来的なアドバンテージを手に入れるために英語を学習するケースです。

自身の英語レベルに合わせて試験を選ぶ

昇進や海外赴任など目的が明確であれば、求められる資格試験を受験するのが正攻法です。しかし、本当の意味での英語力をアップさせたいのであれば、自身の英語力に応じた資格試験をその都度カスタマイズして受けるのがおすすめです。繰り返し述べているように日本人は「発音」に難があるため、できれば4技能試験を受けることをおすすめします。

以上を踏まえた上で、理想的な受験のルートを考えてみると、まずはTOEICを受けて自身の実力を測ってみましょう。TOEICが難しいようであれば、英検の3級や準23級など易しいレベルに挑戦するというのがおすすめです。もし、TOEICで900点程度の点数が獲得できるのであれば、TOEFLやIELTSの4技能試験にチャレンジする、または受験料が安価な英検1級に移行するのがいいでしょう。また、文法力をアップしたいというピンポイントの目標があれば、TOEICのPart5、6で満点を目指すというアプローチもあります。

あまり知られていない変わり種試験

英語力アップに役立つ、一風変わった英語の資格試験もあります。

・EPT 英語発音テスト

「EPT」はEnglish Pronunciation Testの頭文字で、2012年に創設された。初見文、課題文などを音読する形のテストで、アメリカ英語など特定地域のアクセントに限定せず、いかに多くの聞き手にとって分かりやすく自然に発話されているかを、個々の発音、リズム、イントネーションなどの側面から多角的に判定する。合格不合格ではなく100点満点で測定される。試験会場またはオンラインでの音読形式で、試験時間は5分程度。

・英単語検定

2009年にスタートした、純粋な英単語力を測るための検定テスト。英語を使えるようになるうえで重要となる英単語力を測る公の資格試験がほしいという学校の先生の要望によりスタートした。英単語力測定の一環として全国の公立・私立の小中高校等で団体受験されてるほか、企業でも英単語力強化の一環として導入されている。中学生低学年レベルの5級からネイティブレベルの1級まで7つのグレードに分かれており、合否を判定する。

これらピンポイントの資格試験も加えることで、勉強にメリハリがつくでしょう。

スキルアップに使える「全国通訳案内士」

一風変わった英語関係の試験としては「全国通訳案内士試験」があります。全国通訳案内士とは、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする」者であり、全国通訳案内士試験に合格し、都道府県の登録を受けた方々になります。高度な外国語能力に加えて、日本全国の歴史・地理・文化等の観光に関する高い知識を有す必要があります。「全国通訳案内士試験」は観光庁の代行機関として日本政府観光局(JNTO)が実施するれっきとした国家試験であり、語学系では唯一の国家資格となっています。2020年4月1日現在の登録者数は26,077人で、外国語の種類は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語及びタイ語となっています。

現在はコロナ禍でインバウンドが減っていますが、状況が収束した後はインバウンド需要が見込め、活躍の場が広がる可能性があります。

まとめ:

社会人が英語を習得する目的は、あくまで日常生活やビジネスの場で英語を使えるようになることであり、試験のためではありません。しかしながら、自身の英語の習熟度を測ったり、モチベーションを維持するためには英語の資格試験は有効です。

私達は30代から50代のビジネスパーソンに向けて、パラレルキャリア研究会というコミュニティーを運営しています。当研究会ではビジネス英語もパラレルキャリア開発の対象として、互いに能力を高め合う場を提供しています。英語は生き方も変えてくれますし、他の学習テーマとは違う独特な魅力があります。

現在は新規会員も募集中ですので、私達と一緒に学んでみたいという意欲のある方、ビジネス英語の向上やパラレルキャリアに少しでも興味がある方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。