TOEICも英検も、受けるだけでは意味がない!英語を勉強する目的を再確認しよう

英語を勉強する目的を再確認しようのアイキャッチです

「ビジネス英語力を向上させたい」と考える人は多くいますが、その「理由」については何と答えるでしょうか。「昇進や転職で必要だから」「資格試験が好きだから」「海外の人とコミュニケーションを取りたい」「自己研鑽」など、人によってさまざまな理由があるでしょう。一方で、英語の勉強はそれ自体が目的化してしまいやすく、いつの間にか英語を学ぶ本来の目的を見失いがちです。今回は、英語を勉強する目的を再認識する大切さについてお話します。

第三者から課されて英語を勉強する人は要注意

30代から50代のビジネスパーソンが英語を学ぶ必要性については別の記事「30代から50代のビジネスパーソンが英語を学ぶべき理由」で詳しくお伝えしていますが、英語を勉強する理由について「大学受験に必要」「会社の昇進条件としてTOEICの点数が必要」「採用条件に英語の資格が必須」など、第三者から課され、必要に迫られて勉強をする方も多くいます。「ビジネスパーソンの英語学習に役立つ資格試験」でもお話したとおり、現在英語の資格試験は数多く存在し、入試や昇進の場面において重用されています。

一方で、第三者から英語の勉強を課されている場合には、英語を勉強すること自体が目的となってしまい、そのための能力しか鍛えないという事態が起こり得ます。具体的には「読む(リーディング)」と「聞く(リスニング)」の能力だけに偏りがちです。

資格取得のためだけの勉強になっていないか

試験に合格する、あるいはTOEICで高い点数を取ることだけが必要であるならば、それだけに集中するのは試験をパスするという点では正解かもしれませんが、試験の合格というのは、あくまでも英語学習におけるひとつのステップに過ぎません。なぜなら、会社や学校は、コミュニケーションの手段として英語を使えるようになってほしいがために、これらの試験を課しているからです。

そのため、英語の勉強を単なる「試験勉強」と捉えている場合には、英語をコミュニケーションの手段として使えるようになるという、本来の目的には到達できません。「英語ができる」状態というのは、英語しか共通言語のない相手とコミュニケーションがとれる状態のことであり、そのような状態にならないと、市場価値というのは飛躍的には高まりません。

試験で高得点をとることで、目的の会社に就職できたり、社内で出世できたりはするかもしれませんが、それはその会社や組織でのみ評価されるというだけの話です。英語を学ぶことの本質的な価値は、コミュニケーションの手段として英語を使うことが出来、自分の専門性を英語でも発揮できるという点にあります。

自分の専門性や教養を英語で発信できることが価値になる

これまで積み上げた自分の専門性以外にも、料理の作り方やアウトドアや釣りのノウハウなど趣味の分野も含めた一般教養を英語でも発信できるというのも大きな価値です。結局のところ、英語を学ぶ本当の価値はここにあり、資格試験の先にはこの目的があるということを意識しておく必要があります。これらをまとめたイメージは下図のようになります。

 

TOEICも英検も、受けるだけでは意味がない!英語を勉強する目的を再確認しようの図です

就職や昇進など目先の目的のために試験を突破しなければならないのはその通りですが、そこで止まってしまっている方が多いように感じます。例えば英検1級を受かった人が、「次は英検1級よりも難しい国連英検を受験しよう」という例です。その試験を受けたところで、国連で働くつもりがあるならばそれでも構いませんが、そうでないならばある程度のところで区切りをつけて、英語で会計やデータサイエンスの勉強をする、英語で記事を書いてみるなど、自分の専門や好きなことを英語でする方にシフトした方が、自分の英語が使えているという実感をより強く持てるでしょう。そのことで試験の点数は伸びないかもしれませんが、英語が役立つという実感を得ることは大切です。英語で一般教養を学ぶなど、英語で勉強する方が、得るものは大きいです。

日本以外で活躍する選択肢を得るためにも英語は必要

日本で生活している限りにおいては、コミュニケーション手段としての英語を身につける必要がそこまでなく、身に付けなくとも生きていくことはできます。しかし以前のように日本経済が好調な時代はそれでもよかったのですが、あともう3年から5年もすれば、高度な専門性をもった人材は、日本の賃金より、シンガポールやマレーシア、中国などの方が圧倒的に高い報酬を得られるようになるでしょう。そのような状況で、日本の中だけでしか活躍ができないのは、コスパが悪くなる一方です。

同じような専門性がある2人でも、日本語しかできない人と英語もできる人では給料や報酬にかなりの差が生まれます。そのような時代を見据えて、「コミュニケーション手段としての英語」を学ぶ必要性があり、その前段階として資格試験があるということを意識しておくのは大事です。

まとめ:

資格試験などの目的がない状態で英語の勉強をしようと思っても、強制力が足りないこともあるため、試験勉強をすること自体はいいと思います。しかし、それが単なる試験勉強止まりになってしまい、コミュニケーション手段にまで到達しなければ、自身の価値も高まらず、お金を得ることもできません。英語の試験勉強は、あくまでコミュニケーション手段としての英語を身につける前段階であり、英語は自身の専門性や教養と掛け合わせて価値を生むものだという「英語学習の目的を意識する」ことが大切です。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。