プロライターが教えるライティングのコツ①「プロット編」

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ライターとして文章を書くことを生業にしている手前、多くの方から「上手な文章を書くコツを教えてほしい」「文章を書いている途中で迷子になってしまう」「時間をかけず文章を書けるようになりたい」などの相談をいただくことがあります。

正直なところ、そんなコツは私が教えてほしいくらいですが、もしかしたら私が普段やっていることの中にも、なにか皆様のお役に立つことがあるかもしれないと思い、このたび僭越ながら「ライティングのコツ」として筆を取らせていただくことになりました。

初回となる今回は、多くの方が悩まれているであろう「途中で何を書きたかったのか分からなくなってしまう」という「ライティング迷子」現象の解決策についてお話したいと思います。オウンドメディアとしてブログを運営されている方にも役立つ情報かと思いますので、ぜひご覧ください。

ライティング迷子の原因はプロットの練り上げ不足!

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私が思うに「文章を書いている途中で迷子になってしまう」という現象の大半は「きちんとプロットを書いていない」ことに起因します。逆に言えば、プロットさえきちんと作ってしまえば、文章はほぼ完成したようなものです。

「いや、筋道はある程度作ってから書き出しているけど……」という方、それでも結果的に迷子になっているのであれば、プロットの練り上げが足りません。プロットは「導入」「問題提起」「本文」「結論」などざっくりとしたものではなく「このパートにはこれを書く」といった、もっと具体的な部分まで落とし込んだものです。

え?そもそもプロットってナニ?という方は、このまま続けてお読みください。

プロットとは?その役割と意味

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プロットとは、英語の「plot」という単語に由来し「筋書き」や「構想」を意味します。要するに文章の筋書きのことであり、本でいえば「目次」、文章でいえば「小見出し」に当たるものと考えて差し支えありません。

随筆やライフログは別として、皆さんが何がしかの文章を書くときは、扱いたいテーマやアイデア、伝えたい結論がある状態だと思います。それを論じる上での詳細な道筋のことです。

なぜプロットが必要なのか

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プロットの必要性について「登山」を例に考えてみましょう。知らない山に登る場合、まずは「登山ルート」を確認しますよね。登山ルートには美しい湖や展望台、狼のように見える岩などの見どころが含まれており、そこを通るだけでスポットを押さえつつ効率的に山頂に到達することができます。ルートを確認しないまま山頂を目指してやみくもに登り始めても、途中で迷って時間を浪費することは想像に難くないでしょう。

これはライティングでも同様です。結論(山頂)に向かうために、論点(見どころ)を効率よくまとめた道筋(登山ルート)が必要なのです。これがプロットです。山登りと同様、結論だけがある状態で筆を走らせた結果「えーと、これでいいんだっけ」「結局何を書きたかったんだっけ」と迷いが生じるのは当然のことです。そうならないためにも、あらかじめプロットを作成しておく(=頂上までの道筋を作っておく)ことは非常に大切なのです。

プロットを作ることで得られる3つのメリット

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プロットを作成することで得られるメリットは大きく3つあります。

1.迷いがなくなり執筆に集中できる

これがプロットを作る一番のメリットです。あらかじめ話の道筋を決めておくことで「書きたいことがわからなくなった」「話が広がりすぎてまとまらなくなった」「脱線して元に戻れなくなった」というライティング迷子になるのを防げます。その結果、執筆にかける時間も短縮できます。プロットを作成する時間をとられてしまうことを嫌がる方もいらっしゃいますが、何の指針もなく書き始めるよりは断然時間の節約になります。

2.文章全体のバランスがよくなる

プロットを作成することにより、文章全体の構造を俯瞰できます。後で詳しく述べますが、プロットを作成した段階で、おおよその文字数も決めてしまえば、導入部分がだらだらと長くなる、例示にボリュームを取りすぎる、本論部分がやけに短いなどバランスの不具合が起きないようあらかじめ調整ができます。

3.文章のクオリティが上がる

これは1とも関連しますが「この流れでいいんだっけ」「この例示は必要だったろうか」など余計なことに気を取られないぶん、文章のクオリティそのものに目を向ける余裕が生まれます。登山でも「この道を進んでいいんだろうか」とルートに気を取られた不安な状態では、途中の美しい景色や道端に咲いている花に目を向ける余裕がないのと同じです。

プロットの作り方

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それでは、実際のプロットの作り方です。これも登山ルート作成を例に考えたいと思います。

1.まずは言いたいことを洗い出す

登山ルートを作る際には「花畑」「滝」「絶景ポイント」など、その山にどのような見どころがあるのかを洗い出して整理しなければいけません。

これと同様に、プロットを作る際も自分がその文章を通して伝えたいことを箇条書きで書き出してみましょう。入れたいと思っている例示も同様です。手書きのメモでも構いませんし、ワードなどのテキストエディタに打ち込んでも構いません。その文章を作るにあたり入れたいアイデアや意見を全て出し切りましょう。

2.ペルソナを意識したキーワードをピックアップする

別記事「オウンドメディアにおけるペルソナの重要性〜意図する相手にコンテンツを届ける指針〜」でもお話したように、全てのメディアにはペルソナが設定されているはずです。先ほど書き出したものの中から、どれを取り上げれば設定したペルソナに響くかを考えましょう。

登山ルートでも、全ての見どころを網羅することはできません。これぞ、という数点に絞る必要が出てきます。その絞り込みに必要となるのが想定登山者(=ペルソナ)なのです。メインの登山者が高齢者であれば、足に負担の無いコースが好まれるでしょうし、若者であれば少し距離はあるけれども美しい眺望が望める展望台など、組み込むポイントが変わってくるでしょう。

プロット作りもこれと同様で、場合によっては挙げたキーワードを切り捨てることも必要になります。プロットづくりはアイデアをふるいにかける作業でもあるのです。ここできちんと要素を絞り込んでおかないと、あとで「あれも入れたかった」「これを入れたらどうだろう」と迷いが生まれ、結果として内容がまとまらなくなってしまうのです。

ご参考までに、本稿のプロットはこのような感じです

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3.違和感のない流れを作る

2でポイントを選定したら、どのような流れで話を運ぶのがペルソナにとって最も違和感がないかを考えて流れを作ります。できれば、この際に全体の文字数を意識してそれぞれの段落ごとの文字数を決めてしまいましょう。

プロットを書く際に、書き出しの文章を1文だけ書いてしまうという手もあります。そうすることで、パート同士の前後関係がより明らかになります。

プロットの作り直しは本文に取り掛かる前に!

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どんなに作り込んだプロットでも、見直してみると辻褄が合わない、もっとよい例を思いつくなど、作成途中でやり直すことは往々にしてあります。むしろ、プロットが一発で決まる方が少ないです。その時は納得いくまでプロットを手直してください。

ここで大切なのは、修正は必ず本文の作成前に行うということです。よほど文章を書き慣れていない限り「書きながら直せばいいや」は迷子の元です。文章を書き始めてからプロットを直したくなるということは、前段階でまだ詰める余地があるということです。その際にはもう一度プロットに立ち返って、きちんと練り上げてから先に進みましょう。

きちんとしたプロットこそがいい文章を書く近道!

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「書いている途中で文章がまとまらなくなる」という事態は、大抵の場合プロットをきちんと練り上げられていないからに他なりません。文章を書き慣れていない初心者の方こそ、まずはプロットを書き、筋道立ててから本文の作成に取り掛かることをおすすめします。

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ABOUTこの記事をかいた人

神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒業。地域情報誌や外資系Webメディアの編集者を経て、2015年にシンガポールに渡星。現地でビジネス系メディアの編集に携わる。その後ニュージーランド、ベトナムなどを転々としながら、フリーライターとしてモノづくり系メディア、旅行メディアを中心に執筆中。