インタビュー「経験豊富なビジネスパーソンにとってのキャリアカウンセリングの重要性とは」

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30代から50代のビジネスパーソンの能力開発を支援する学習コミュニティ「パラレルキャリア研究会」。主にデータサイエンスの勉強会などを通じて、経験豊富な社会人がさらに市場価値を高めるための能力開発を行っています。

今回、広く社会人を対象に無料のキャリアコンサルティングを開始するに当たり、その目的や経験豊富なビジネスパーソンがキャリアコンサルティングを受ける重要性などについて、キャリアカウンセリングを担当するパラレルキャリア研究会主宰の長島三氣生(ながしまみきお)氏にお話を伺いました。


長島三氣生(ながしま みきお)氏

30代から50代のビジネスパーソンの能力開発を支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 早稲田大学商学部卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。

※無料カウンセリングの具体的な内容については別記事社会人向け無料キャリアカウンセリングのご案内をご覧ください。

ーーまずは、無料カウンセリングを行う目的を教えてください

長島氏:目的はご相談者様の能力開発のサポートです。以前、私は別記事あなたのキャリア開発を加速させるマンダラート作成法で、能力開発のためにマンダラートを活用しようというお話をしました。その導入段階として、いきなりマンダラートに取り掛かるよりは、最初はその方のこれまでのスキルを踏まえて、今後市場価値を高めるためにどのようなことを勉強したらいいのかというアドバイスなどを行いたいと思っています。具体的な転職の相談というよりは、どのような能力を身につけていけばいいのか、という視点ですね。

例えば、現在マーケティングのスキルのある方が「プログラミングや営業も出来たほうが良い」というのは割と分かりやすいと思うのですが、そうではなくて、非連続的な「これとこれの組み合わせをしたらこんなことができる」という着想を支援したいと思っています。「それは自分で考えても分かる」という話に終始するのではなく、すでに経験とスキルをお持ちの社会人に対して「さらにこれができればもっと市場価値が高まりますよ」というアドバイスを広い視点で提供したいという思いがあります。

加えて、今しかできない能力開発の支援もしたいのです。私は常々「経験」に時間とお金を使ってほしいと思っています。例えば、留学ひとつをとっても私のような40代中盤では、大学院に行ったとしても同世代の人がいないので30歳前後で留学して得られる関係性は得られないわけです。また、社会人になりたての時期に経験したことと、50代60代になって経験したことでは、同じ留学だとしてもその後の人生においての影響度や活かし方が異なります。

このように、ある経験をするのに適した時期というのがあり、それゆえ今しかできない「体験」に時間とお金を使ってほしいと常々思っています。逆に現在40歳の方が50歳になっても学べるようなことは、優先順位を上げて今やる必要はないのです。この考えをベースに、その方のライフステージに即した「今はこういうことをやったほうが良いのではないか」というアドバイスを積極的にしたいと思っています。

ーーそもそも、なぜすでに経験豊富な社会人にキャリアカウンセリングが必要なのでしょうか。

長島氏:現在は会社が短命化しており、それによってライフスタイルも変化・短期化してきている一方で、人生は長期化しています。また、いろいろな業界でテクノロジーをベースにイノベーションが連鎖していて、業界の変化も早まっています。さらには日本にも外国人が来る、日本人も海外に行くというグローバル化も進んでいます。このような外部環境の変化が激しい時代に対応するには、これまで獲得した能力やスキルとは非連続な能力開発というのが社会人になってから重要になります。簡単に言えば、持続してお金を稼ぐために非連続な能力開発が必要となってくるためです。

ーーこのキャリアカウンセリングの最終的なゴールは何でしょうか

長島氏:ゴールはマンダラートの作成です(マンダラートについては別記事「あなたのキャリア開発を加速させるマンダラート作成法」を参照)。さまざまなワークショップを通じてご相談者様が今後「何を生業とするか」というアイデアを1つに絞り、それを中心に据えたマンダラートを作成してもらいます。マンダラートはご自身で作ってきてもらい、それを一緒にレビューする流れになりますが、いずれにせよ、真ん中に入るものを決めるところまでは持っていきたいです。

真ん中に据える目標が決まれば「では、そのためにこういう事もやらないといけない」と周辺目標も決まっていき、マンダラート作りもスムーズになると思います。そのため、マンダラートの中心たるアイデアにすぐに辿り着けるようであれば、少ないカウンセリングの回数で終了します。

しかし、実際のところいきなりマンダラートを作ろうとしても大変です。特に真ん中に何を置くのかいきなり言われても大半の方はまず分からないでしょう。だからこそ、このワークショップは真ん中に何を置くのかを探っていくためのフレームワークと考えてください。マンダラートの真ん中に置くものは何かを多面的に探っていくイメージです。

ーー具体的にカウンセリングはどのような流れで進むのでしょうか

長島氏:初回はまず30分から45分程度でご相談者様と質疑応答をベースに対話をし、その内容によって2回目からのカウンセリングのベースとなるワークショップを決めていきます。全3回程度を予定していますが、それもご相談者様によって異なります。また、ワークの内容もいくつかメニューを用意しているので、その中のなじみやすいものからやっていきます。具体的な流れにつきましては別記事社会人向け無料キャリアカウンセリングのご案内をご覧ください。

ーー全般的に、長島さんと話をしながらご自身を発見していくようなイメージでしょうか。

長島氏:そうですね、私はキャリアコンサルタントなどの国家資格を持っているわけではありませんが、その方の考えていることを整理しつつ、さまざまな選択肢やオプションを提示して、最後に決めてもらうための条件作りをします。もちろんすぐには決められない方もいらっしゃると思いますが、それはそれで大丈夫です。まずはご自身にどのような選択肢があるのかを一緒に考えていければと思っています。

ーー自分一人で考えるのとキャリアカウンセリングを受けるのとでは違う効果が得られるものでしょうか。

長島氏:自分一人でもご自身のキャリアについて考えることはできると思いますが、人に話し、また質疑応答を繰り返すことで自分の考えが整理されるというメリットがあります。一方で、キャリアに関するお話は親しい友人などにはしにくいですよね。すごく親しい人に自分のお財布の中身を見せたくないのと同じです(笑)。しかし、その場だけで完結する関係の人にだったら、特に気にせず打ち明けられると思います。その点、私とは一期一会、その場だけの出会いなので、知らない人だからこそ気軽に話してもらえるのではないかと思っています。気軽な相談相手、壁打ち相手のような感じで考えてもらえればと思っています。

ーーカウンセリングの回数が定まっていないのはなぜでしょうか

長島氏:決まった回数をこなすというよりは、ご相談者様のニーズや確保できる時間、モチベーションに合わせて柔軟に対応したいのです。そのため、回数を少なくする場合もありますし、ガッツリやりたい方にはそのように対応したいと思っています。ただ、1回のセッションは30分から1時間程度と固定で、しっかりやりたい方はその分回数を多くするというイメージです。

ーーワークショップの内容は人によって変わるのですね。

長島氏:はい、ご相談者様とお話をしていく中で「ここがちょっと曖昧だからこのワークショップをやってみましょう」という流れを考えています。最初から価値観などがクリアな方であればワークショップの回数は少なくなりますし、マネタイズのアイデアが混沌としている方であれば「ちょっとこういうのを使って整理してみましょう」と、人生曲線や価値観のワークショップなどで一緒に整理していきます。

いずれにせよ、ワークショップはその場でやるのはなく、事前に行ってもらい、それを見ながら一緒に深掘りをしていきます。また、ご自身の強みなどがよく分からなければ『ストレングスファインダー』などの書籍を使うなど、柔軟に対応していきたいと思っています。

ーー料金は、回数に関わらず無料なのですか。

長島氏:はい、最初から最後まで無料です。

ーーどのような方にカウンセリングを受けてほしいですか?

長島氏:このままのキャリアでは今後生き残れないので何とかしたいけれど、どんなことをしたらいいのかわからないという方ですね。正直なところ、今の会社で出世をするのが目的であれば、このカウンセリングは必要ありません。現在のキャリアが不安定な方や、外部の環境が変わってしまい、非連続な能力開発が必要になった方にはぜひ来ていただきたいです。

そのような方々に向けて「このようなスキルを身につけるために、まずこの業界に転職してみてはどうか」「あなたのやりたいことを実現するためにはこのスキルが足りていないので、この業界で経験を積んでから独立してはどうか」などのアドバイスをしたいと思っています。逆に、無料だからといって、行動に移さず相談のみを求められる場合にはお断りさせていただくこともあります。

ーーキャリアカウンセリングに興味がある方にメッセージをお願いします

長島氏:今後は定年という概念が薄れ、雇用契約期間もどんどん短くなっていくと思います。それが55歳なのか50歳なのか、はたまた40歳なのかはわかりませんが、そうなった時に会社で今までやっていたことの延長線上の能力開発(連続的な能力開発)では追いつかなくなります。仮に45歳で会社からいなくなったと言われた場合に、その後どうやって働いていけばいいのかという話になります。

私は社会人になった後にどうやって学び能力開発していくのかが学校で学ぶ勉強よりも重要だと思っています。70歳で引退をするとしても、学生の期間よりも社会人でいる期間の方が長いですから。その考えをベースキャリアカウンセリングを行いたいと思っています。そして、もしデータサイエンスやファイナンシャルリテラシー、ビジネス英語など私が主催するパラレルキャリア研究会で一緒にやっていけるような能力開発があれば、一緒にやっていきたいと思っています。興味がある方はぜひ、こちらのお問い合わせフォームよりお申し込みください!

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ABOUTこの記事をかいた人

神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒業。地域情報誌や外資系Webメディアの編集者を経て、2015年にシンガポールに渡星。現地でビジネス系メディアの編集に携わる。その後ニュージーランド、ベトナムなどを転々としながら、フリーライターとしてモノづくり系メディア、旅行メディアを中心に執筆中。