社会を変革する5つの「破壊的」デジタルテクノロジー

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現在、デジタルテクノロジーはこれまでにないスピードで進化を遂げており、マーケティングの分野でも新たなテクノロジーを取り入れた事例が次々と登場しています。

新たなデジタルテクノロジーは新たな顧客体験の創出を可能にし、さらには業界によってはこれまで当たり前のように存在していた仲介人が不要になる、あるいはこれまで考えられなかったほどの膨大なデータを集められるようになるといった変化が生まれ、これにより既存の商売自体の顧客価値が相対的に低下するというゲームチェンジが起きる可能性もあります。

これからの日本で活躍する次世代ビジネスパーソンにとって「デジタルマーケティング」が重要であることは、次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのポータブルスキルでお話したとおりです。デジタルマーケティングとは即ち「デジタルの世界で集客し顧客価値を提供できる」ことであり、これは物理的な物や商品に興味をもってもらう場合だけではなく、独立してフリーランスとして働く場合など「自分で新規顧客を獲得し固定客になってもらう」場合であっても同じです。

今後、このデジタルマーケティング戦略に影響を及ぼしうるテクノロジーの概要を押さえておくことは、社会の動向を知る上でも必須です。そこで今回は、新たなテクノロジーの中でも社会を変革しうる力をもつ5つの「破壊的」デジタルテクノロジーをご紹介します。

人工知能技術(機械学習エンジン)

人工知能(Artificial Intelligence、AI)とは、「学習・推論・判断といった人間のような知能を再現するコンピューターシステム」のことです。現在は「第3次AIブーム」の真っ只中であり、コンピューターが膨大なビッグデータを学習し、分類や予測などのタスク遂行のためのアルゴリズムやモデルを自動的に構築する「機械学習(Machine Learning)」が注目されています。

さらに、機械学習の一種として第3次AIブームのきっかけとなった「ディープラーニング」があります。ディープラーニングとは、必要十分なデータが用意されていれば、課題に対して機械が自動的に特徴を選び出す学習のことを指します。この仕組みを支えているのが人間の神経細胞(ニューロン)を真似た構造の「ニューラルネットワーク」であり、これにより学習を階層化してより複雑な問題にも対応できるようになったほか、画像認識、音声認識なども可能になりました。

5G/6G

これらはモバイルの通信規格であり、「G」は「Generation」の略です。モバイルの通信規格はおおよそ10年に1回、世代が進むといわれており、現時点では1G(第1世代移動通信システム)から2020年3月より日本での商用化がスタートした5G(第5世代移動通信システム)までが存在します。5Gは、これまで主流だった4G(第4世代移動通信システム)のおよそ20倍もの高速通信が可能といわれており、このような高速・大容量の進化に加えて低遅延、多数接続という特徴を持っています。

さらに業界内では、既に次の6G(第6世代移動通信システム)に向けた協議が始まっています。超高速・大容量通信、超低遅延などの特徴はもとより、現在の移動通信システムがカバーできていない空や海、宇宙などを含むあらゆる場所での使用を想定した「超カバレッジ拡張」を将来的には目指すとされています。NTTドコモは2030年頃のサービス提供開始を目指し、6G(第6世代移動通信システム)に関するホワイトペーパーを2020年1月22日に公開しています。

自動運転

自動運転車とは、ドライバーが運転の際に行っている、認知、判断、運転操作(加速、操舵、制動など)の行為を、人間の代わりにシステム(機械)が行うものです。GPSやカメラ、レーダーやセンサーなど様々な計測装置や情報通信技術を駆使し、運転操作の自動制御につなげています。米シリコンバレーでは、大小さまざまな企業が自動運転技術の開発に取り組んでおり、「Tesla(テスラ)」やGoogleの親会社であるAlphabet傘下の「Waymo(ウェイモ)」はその代表格です。

自動運転車搭載される技術によって「レベル1:運転支援」から「レベル5:完全自動運転」までの5レベルに分けられており、現在日本国内では「レベル3:特定条件下での自動運転機能(高機能化)」までが市販車に採用され、実用化が進んでいます。

量子コンピュータ

量子コンピュータ(Quantum Computer)とは、「量子力学」を計算過程に用いるコンピュータのことです。スーパーコンピュータと比べて理論上は圧倒的な処理能力を持つとされています。これらの期待感から世界中でさまざまな企業や研究機関が開発を進めていますが、いまだに理論上の性能を完全に満たす技術は確立されていません。

しかし、一旦実用化されれば現在の主流である暗号化技術が役に立たなくなるなどコンピューターの世界が劇的に変わると言われているほどインパクトのある技術です。そのほかにもロジスティクスや交通、さらには新素材開発や創薬といった分野での価値創出が期待されています。実用的な量子コンピュータは2035年頃に登場すると言われています。

ブロックチェーン(NFT:非代替性トークン)

ブロックチェーンとは、ネットワークに接続した複数のコンピュータ間でデータを共有することにより、デジタルデータの耐改ざん性や透明性を実現する手法のことです。具体的にはネットワーク内で発生した取引の記録を「ブロック」と呼ばれる記録の塊に格納します。個々のブロックには取引の記録に加えて、1つ前に生成されたブロックの取引情報を要約した「ハッシュ値」と呼ばれる情報などが格納されます。生成されたブロックが時系列に沿って鎖のようにつながっていくことが、ブロックチェーンという呼び名の由来です。

このブロックチェーン技術を応用したものが「NFT(Non-fungible token、非代替性トークン)」です。NFTは代替や交換されることのないデータのことで、資産のデジタル鑑定書と所有証明書としての役割を併せ持ちます。ブロックチェーン上で発行・流通されるのでコピーやハッキングが不可能で、オンライン上に存在するデジタルデータの唯一無二の価値を表現できるのです。これまでコピーが容易だったオンライン上のデジタル画像や楽曲などに、本人から購入したことを見分ける仕組みなどを導入して、デジタルコンテンツに価値を持たせられるなどのメリットがあります。

まとめ:

デジタルテクノロジーの一番の価値は、今までにない新たな顧客体験を創出できるところです。今後、デジタルテクノロジーの発展により新たな商売が生まれ、ビジネスモデルの変革が起こるのは間違いありません。今回ご紹介した新たなデジタルテクノロジーは、今の段階ではどのように用途で役立つか、応用範囲には無限の可能性があります。今後は、現在のサービスでは満足させられていないお客様のニーズを考えながら、これらの新技術をどうやってお客様の課題解決に結びつけられるかという動きが、デジタルマーケティングのひとつの大きなテーマになっていくと考えられます。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。