私はこれまで、デジタルマーケティングとは「デジタル世界で物やサービスを売るために集客する」ことであり、これは物理的な物や商品を売るという場合だけではなく、フリーランスとして独立して働くなど「自分自身を売る」場合でも同様だと述べてきました。
デジタルの世界で情報発信をすることで新たな顧客を創造でき「人から延々と仕事をもらい続ける」というスパイラルからの脱却が図れるというのは申し上げたとおりです。しかし、一口に新たな顧客を創造する、と言っても誰かの二番煎じでは市場への新規参入すらままなりません。そこで今回は、新たに顧客を開拓する場合に考えるべき5つのポイントを掘り下げます。
1.世の中に存在するサービスは全ての問題を解決できているわけではない
新しいお客様を開拓するという点において、もうすでに多くの人が着手しているサービスを提供しているようでは、なかなか人は集まりません。とはいえ全く新しい、他に誰も提供していない奇抜なサービスである必要もありません。今の世に存在しているサービスでは、まだ充分に解決できていないポイントを探すという視点が大事です。100人中60人程度は満足しているものの、10人から20人程度は課題が解決できていない点を軸にサービスを考えるのが上策です。
2.オンラインとオフラインを組み合わせた強みを構築する
デジタル化が進んでいる世の中ではありますが、可能であればオンラインとオフライン両方で提供できるサービスが望ましいです。オンラインだけで完結するサービスは、他の人も参入しやすいというデメリットがあります。もちろん最初はオンラインで集客せざるを得ませんが、オフラインのみだと「あなたから買いたい」と思わせる上での「あなた」が見えない状況になってしまいます。ある程度の人数が集まってきたら、オンラインとオフラインを組み合わせたサービスを考えていきましょう。リアルとデジタルの両方でサービスを提供することが、お客様のエンゲージメントを高めることにつながるのです。
3.特定顧客の解決されていない問題を解決する
今流行っているサービスをもってしても、解決できないお客様の課題というものは必ず存在します。そこに解を提供するサービスを創出することで、新規のお客様の獲得が叶います。元のサービスが抱えるお客様のボリュームが大きければ、そのお客様のうちの1割にサービスを提供しただけでも、かなり多くの人を集客できることになります。
4.特定顧客の満足度を10倍にする
既存のサービスで課題を解決できていないお客様に解を提供し、満足度を10倍にすることでこちらのファンになってくれる可能性が高まります。そのためには、ペルソナ設計(ターゲット設計)が非常に大事になります。個人でサービスを提供する際は「これは私のためにあるんだ」と思わせるようなサービスを考えることが重要です。凡庸なサービスは、結果として誰にも刺さりません。デジタルの世界に存在する潜在顧客のうち、特定の人物に刺さるようなサービスを作らなければ、リピーターにはなってもらえません。具体的に「こういう人がこんな理由で買ってくれる」というところまでユーザー像を落とし込めていなければ、サービスとしては弱いといえます。そして、往々にしてそのようなサービスでの新規参入は困難です。
5.小さな市場で独占する(No.1になる)
デジタルの世界では、小さな市場でもナンバーワンになることができれば、地理的な制約ほぼありません。一方で、日本語でサービス展開をしてしまうとアプローチ先が日本のみに限られてしまうというデメリットがあるため、英語でもサービス展開ができることが望ましいです。英語圏の人口は日本の10倍以上なので、インターネットの場合はあまり市場規模やマスを考える必要はないでしょう。
顧客との究極の約束(Unique Selling Proposition)を考える
新たなサービスを創出する際に「私はお客様にこういう利益を提供します」という顧客との約束(Unique Selling Proposition)はとても大切です。例えば「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません」「100人乗っても大丈夫」などがその例です。この約束の内容はお客様にとって有益なもので、かつお客様に「それがあると助かる」と思わせるものでなければなりません。具体的には「この商品やサービスを買えば、こういう利益を手にすると伝えられる」「競合が提案していないものである」「その提案は多くの人を動かす力がある」という点が大切です。
まとめ:
これからの時代において、誰かと同じことをやるだけでは事業として成長は望めません。それには新たな顧客の開拓が必須です。新規で顧客を獲得するためには、特定顧客の課題をピンポイントで解決することが重要なのです。ただやみくもに新規顧客を開拓するのと、そのお客様にファンになってもらうのとでは大きな違いがあります。長い目で見て「リピーターを育てる」という意識で新規顧客を開拓することが重要です。