次世代ビジネスパーソンがファイナンシャルリテラシーを高めるべき理由

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これからの日本で活躍する30代から50代のビジネスパーソンに必須となる8つのスキルについては次世代ビジネスパーソンに必須となる8つのポータブルスキルでお話しました。その中で、私は「ファイナンシャルリテラシー」を重要なスキルの1つに挙げています。

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今回は、次世代ビジネスパーソンがなぜファイナンシャルリテラシーを高める必要があるのかという点についてお話します。

ファイナンシャルリテラシーを高めるべき理由

最初に結論づけますと、30代から50代のビジネスパーソンがファイナンシャルリテラシーを高めるべき理由は「お金で損をしない」ためです。「納税」は国民の三大義務のひとつですが、その詳しい内容について、学校で事細かに習うことはありません。しかしひとたび大人になれば、知識の有無に関係なく税金を納めなければならず、その結果、多くの人が詳細な内容についてよく分からないまま税金を納めるという事態になっているのです。一方、アメリカでは高校や義務教育中に税金の話を含めたお金に関する授業がきちんとあります。

日本は源泉徴収制度を敷いているため、特に会社員の方は深く税金について考える機会はあまりないかもしれません。しかし、例えば給与所得がある場合でも、事業所得や不動産所得があり、これらの所得がマイナスになった場合、給与所得からそのマイナス分が引かれるので最終的な課税所得が下がります。また、フリーランス(個人事業主)は個人で社会保険に加入しますが、収益源を分割したマイクロ法人を設立し、法人からの標準報酬月額を最低限(例:月給与6万円)にすることで、社会保険料を大幅に削減できたりもします。マイクロ法人で「協会けんぽ(全国健康保険協会)」に加入すれば扶養家族が増えても社会保険料は変わりません。知っているか知らないかの差でしかないのですが、こういうことは誰も教えてくれません。

先に挙げたような知識は、知っているだけで自身の選択肢が広がります。これらの知識によってお金を増やす事ができるわけではありませんが、少なくとも税金の仕組みや社会保険などについては知っておいた方がいいことには間違いありません。お金に関する最低限の知識を持っておくことで、お金を稼いでから最終的に現金を手にするまでのプロセスがイメージしやすくなります。お金周りの知識を得ることは、お金の流れを知ることなのです。その流れが分かれば、余計な税金を払わないようにするにはどうしたらいいか、事前に策を講じることができます。

日本人の財務リテラシーはアジア最下位

MasterCardが2012年4月24日から6月10日にかけて、アジア/太平洋地域の14カ国の18歳~64歳の消費者計6,904人を対象に実施した財務リテラシー指標調査(The MasterCard Worldwide Index of Financial Literacy)によると、総合財務リテラシー指標のランキングにおいて、台湾とニュージーランドがアジア/太平洋地域のトップであるのに対し、日本とインドは最下位となっています。

この調査は、基本的な金銭管理スキル、投資に関する知識、財務計画能力の財務リテラシーに関する3つの項目について消費者調査を行い、予算管理、貯蓄、クレジットカード利用の責任の観点から各国消費者の基本的な金銭管理能力のレベルを査定したものでした。この結果については、前述のとおり財務に関する知識を学校で全く教えないことが原因だと推測します。

ファイナンシャルリテラシーを高めるべき理由の図です

出所:MasterCard調査

銀行預金はタダでお金を貸しているのと同じ

現在のところ、都市銀行の普通預金の利子が年0.001%(2021年4月4日現在)なので、100万円を預けても10円しか利子がつきません。これは、100万円を貸した友達から1年後に「ありがとう」と10円をお礼として手渡されるイメージです。10円で100万円を人に貸すと考えると、「さすがにそれはないだろう」と思いますよね。しかし現実問題、現金を銀行に預けることは、タダ同然で人にお金を貸しているのと同じことなのです。

昔は金利が3%から5%程度はあったので貯金をしていてもよかったのですが、現在では定期預金にしたところで都市銀行だと0.005%(2021年4月4日現在)、国債なども0.01%(2021年4月4日現在)と、国債を買っても銀行にお金を預けても、利子はタダ同然です。経済が成長すればそれに伴って金利も上がりますが、今後の日本の経済成長はなかなか難しいと思われます。そのため今後は節税方法だけではなく、投資なども含めて手元のお金を増やす方法についても知識を蓄えておくことが望ましいです。そして、これらお金に関する知識の総称が「ファイナンシャルリテラシー」なのです。

まとめ:

納税が国民の三大義務であることは、学校で教わったとおりです。そうであるならば、本来はお金周りの知識を義務教育で教えておくべきですが、残念ながら現在はそうはなっていません。こういった状況下では、自から率先してお金に関する知識を増やさない限り、知らぬ間に損をしてしまう可能性もあります。会社員の方も含め、収入が現金として自分の手元に残るまでの一連の流れを知っておくことは非常に大事です。これは現役世代にとってはもちろん、現役を退いた後でも大切になる知識です。

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ABOUTこの記事をかいた人

ビジネスパーソンのリスキングを支援するパラレルキャリア研究会を主宰。 【経歴】 京セラ→アマゾンジャパン→ファーウェイジャパン→外資系スタートアップ→独立(起業)。早大商卒、欧州ESADEビジネススクール経営学修士(MBA)。「デジタル戦略コンサルティング(社外のデジタル戦略参謀)」、「講師業」、「Webアプリ開発」、「データサイエンス」を生業にするパラレルワーカー。